夜香花
 日が落ちる頃、真砂は軒先に羽音を聞いた。
 窓に近づき、留まった鳥の足にあった紙を取る。
 千代からの連絡だ。

『屋敷内には男の影はあらず。室の姿も確認できず。ただ不穏な動きあり』

 ち、と舌打ちが漏れる。
 内心『役立たずが!』と吐き捨てながら、真砂は紙を破り捨てた。

 潜り込ませた千代が役に立たないとなると、とっとと自ら入ったほうがいいだろう。
 不穏な動きがあるなら、先方が何かを固めてしまわないうちに動いたほうがいい。

 朝になったら、とにかくまた城下まで行こうと決め、真砂はごろりと横になった。
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