夜香花
「その前に俺に食わそうとした粥も、お前は食ってないんだな」
これにも深成は首を振る。
真砂が怪訝な顔をした。
先に食べていたのなら、とっくに中毒になっているはずだ。
「キノコは、あんたの分にしか入れてない。あんたが帰ってくる前に、塩粥をたらふく頂いたもん」
真砂の眉間に皺が寄る。
そして足早に家に戻ると、米を入れている甕を覗き込んだ。
「……ほんとにお前の、その肝の太さには感心する」
渋面のまま振り返って言う真砂に、後から家に入りながら、深成は、へら、と笑った。
「だって、お腹空いてたんだもん。あんたが前に作ってくれた塩粥がさ、凄く美味しかったから、同じように塩粥にしたの」
でもちょっと辛かったなぁ、と言う深成を無視し、眉間に皺を刻んだまま、真砂は囲炉裏に火を入れた。
鍋をかけ、米と水を入れる。
深成は、ちらりと脇に置かれたままの盆に目をやった。
「……ね、あれ、ほんとに食べないの?」
真砂は自分の食事の支度をしているのだろう。
ということは、あきの持ってきたこの食事には手を付けないということだ。
ばさ、と布を取ると、立派な膳が姿を現す。
さっきはちらりと見ただけだったが、ちゃんと見てしまうと、なおさら勿体なく思えてしまう。
これにも深成は首を振る。
真砂が怪訝な顔をした。
先に食べていたのなら、とっくに中毒になっているはずだ。
「キノコは、あんたの分にしか入れてない。あんたが帰ってくる前に、塩粥をたらふく頂いたもん」
真砂の眉間に皺が寄る。
そして足早に家に戻ると、米を入れている甕を覗き込んだ。
「……ほんとにお前の、その肝の太さには感心する」
渋面のまま振り返って言う真砂に、後から家に入りながら、深成は、へら、と笑った。
「だって、お腹空いてたんだもん。あんたが前に作ってくれた塩粥がさ、凄く美味しかったから、同じように塩粥にしたの」
でもちょっと辛かったなぁ、と言う深成を無視し、眉間に皺を刻んだまま、真砂は囲炉裏に火を入れた。
鍋をかけ、米と水を入れる。
深成は、ちらりと脇に置かれたままの盆に目をやった。
「……ね、あれ、ほんとに食べないの?」
真砂は自分の食事の支度をしているのだろう。
ということは、あきの持ってきたこの食事には手を付けないということだ。
ばさ、と布を取ると、立派な膳が姿を現す。
さっきはちらりと見ただけだったが、ちゃんと見てしまうと、なおさら勿体なく思えてしまう。