夜香花
が、考えてみると、真砂にはすでに裸を見られている。
初めに真砂に捕らわれていたときに、清五郎に身体の隅々まで調べられたし、その後もしばらくはそのまま着物を直すことも、ままならなかったのだ。
その他にも、着物を剥ぎ取られたこともあるし……と思い出し、深成はまた、ぼん、と膝頭を叩いた。
「ちょっと! あんた、散々わらわと一緒にいて、わらわには何の興味も示さないってどういうことよ!」
鍋の蓋を取って、小さく刻んだ芋を放り込んでいた真砂は、ふと顔を上げた。
「何だ、抱いて欲しいのか?」
「そそそ、そうじゃなくて! 誰でもいいって言うわりには、選り好みしてるじゃないかと思って! 失礼じゃないか」
それこそ目にも留まらぬ速さで、すさささっと真砂から離れた深成に、真砂は少しだけ考えた。
そして、鍋の蓋を戻すと、いきなり床を蹴った。
一足飛びに深成に迫る。
「~~~っ!!」
深成は大きく目を見開いて、迫る真砂から逃げる。
しばらくばたばたと、家の中を必死で走り回った。
「すばしっこいな……」
真砂が呟き、同時に足を蹴り上げた。
初めに真砂に捕らわれていたときに、清五郎に身体の隅々まで調べられたし、その後もしばらくはそのまま着物を直すことも、ままならなかったのだ。
その他にも、着物を剥ぎ取られたこともあるし……と思い出し、深成はまた、ぼん、と膝頭を叩いた。
「ちょっと! あんた、散々わらわと一緒にいて、わらわには何の興味も示さないってどういうことよ!」
鍋の蓋を取って、小さく刻んだ芋を放り込んでいた真砂は、ふと顔を上げた。
「何だ、抱いて欲しいのか?」
「そそそ、そうじゃなくて! 誰でもいいって言うわりには、選り好みしてるじゃないかと思って! 失礼じゃないか」
それこそ目にも留まらぬ速さで、すさささっと真砂から離れた深成に、真砂は少しだけ考えた。
そして、鍋の蓋を戻すと、いきなり床を蹴った。
一足飛びに深成に迫る。
「~~~っ!!」
深成は大きく目を見開いて、迫る真砂から逃げる。
しばらくばたばたと、家の中を必死で走り回った。
「すばしっこいな……」
真砂が呟き、同時に足を蹴り上げた。