夜香花
「にゃんっ」
脹ら脛を狙って繰り出された蹴りを、深成は飛び上がって避けた。
が、その動きが止まった一瞬に、真砂に腕を掴まれる。
「ひいぃぃっ」
情けない声を上げたが、次の瞬間、深成は掴まれた腕を軸に、床を蹴って一回転した。
蹴り上げた足で、真砂のこめかみを狙う。
真砂は深成を掴んでいた手を離して、飛び退いた。
「にゃんっ」
支えがなくなり、深成がべちゃ、と床に落ちた。
「いたたたた……」
鼻を押さえて蹲る深成を見、特にまた彼女を捕まえるでもなく、真砂はまた元の位置に戻り、鍋の蓋を取った。
ほわ、と良い匂いが広がる。
「お前のその身体能力は大したもんだ。そこだけは、村娘に毛が生えた程度じゃない。お前に対する興味は、そこだ」
出来た雑炊を椀によそいながら、真砂が言う。
当然のように、椀は一つ。
深成は、ぶぅ、と頬を膨らませた。
「お腹空いた」
拗ねたように言い、深成は手を差し出す。
「知ったことか」
意に介さず、真砂は雑炊を啜る。
そして、深成の顔を見て顔をしかめた。
「鼻血が出てるぞ」
脹ら脛を狙って繰り出された蹴りを、深成は飛び上がって避けた。
が、その動きが止まった一瞬に、真砂に腕を掴まれる。
「ひいぃぃっ」
情けない声を上げたが、次の瞬間、深成は掴まれた腕を軸に、床を蹴って一回転した。
蹴り上げた足で、真砂のこめかみを狙う。
真砂は深成を掴んでいた手を離して、飛び退いた。
「にゃんっ」
支えがなくなり、深成がべちゃ、と床に落ちた。
「いたたたた……」
鼻を押さえて蹲る深成を見、特にまた彼女を捕まえるでもなく、真砂はまた元の位置に戻り、鍋の蓋を取った。
ほわ、と良い匂いが広がる。
「お前のその身体能力は大したもんだ。そこだけは、村娘に毛が生えた程度じゃない。お前に対する興味は、そこだ」
出来た雑炊を椀によそいながら、真砂が言う。
当然のように、椀は一つ。
深成は、ぶぅ、と頬を膨らませた。
「お腹空いた」
拗ねたように言い、深成は手を差し出す。
「知ったことか」
意に介さず、真砂は雑炊を啜る。
そして、深成の顔を見て顔をしかめた。
「鼻血が出てるぞ」