夜香花
「羽月がやっきになって、頭領の傍を張っておりますな」
「あまりにうるさいから、そいつと対決させた。でも、話にならんな」
「ほぅ? その刺客、それほどに手練れでありますか」
両手で器を持つ老爺に、真砂は、ふんと鼻を鳴らした。
「中の長老ともあろう者が、そんなことを言うのか。長老から見て、羽月はそれほどの乱破か?」
真砂と話しているのは、里の長老の一人。
『中の長老』と呼ばれる老爺だ。
里の五人の長老は、それぞれ里の四方に舘を構えている。
東西南北に四人、そして、里の中央に居を構えるのが『中の長老』。
長老たちの長である。
穏やかなこの老爺は、真砂の育ての親でもある。
といっても、ほとんど真砂は一人で生きてきたのだが。
だが、真砂が苦手とする長老たちの中で、唯一真砂から訪ねることがあるのは、この老爺なのである。
「いいや、まだまだ。まだまだ経験不足じゃな。功を焦ってばかりおりまする」
「そうだな。あんなんじゃ、あのガキにだって簡単に殺される」
「刺客は、そんなに子供でありますか」
「十一だと言ったな。羽月もさして変わらぬだろうに、あいつ、驚くほどガキだ」
真砂の言葉に、中の長老は、ぽかんと口を開けて顔を上げた。
「あまりにうるさいから、そいつと対決させた。でも、話にならんな」
「ほぅ? その刺客、それほどに手練れでありますか」
両手で器を持つ老爺に、真砂は、ふんと鼻を鳴らした。
「中の長老ともあろう者が、そんなことを言うのか。長老から見て、羽月はそれほどの乱破か?」
真砂と話しているのは、里の長老の一人。
『中の長老』と呼ばれる老爺だ。
里の五人の長老は、それぞれ里の四方に舘を構えている。
東西南北に四人、そして、里の中央に居を構えるのが『中の長老』。
長老たちの長である。
穏やかなこの老爺は、真砂の育ての親でもある。
といっても、ほとんど真砂は一人で生きてきたのだが。
だが、真砂が苦手とする長老たちの中で、唯一真砂から訪ねることがあるのは、この老爺なのである。
「いいや、まだまだ。まだまだ経験不足じゃな。功を焦ってばかりおりまする」
「そうだな。あんなんじゃ、あのガキにだって簡単に殺される」
「刺客は、そんなに子供でありますか」
「十一だと言ったな。羽月もさして変わらぬだろうに、あいつ、驚くほどガキだ」
真砂の言葉に、中の長老は、ぽかんと口を開けて顔を上げた。