夜香花
「何それ。わけわかんない。大体千代、真砂を持ち上げすぎ。乱破としては確かに凄いかもしれないけど、人としては最低だ! 仲間のことを全然考えないしさ。自分以外はびっくりするほど信じないしさ。いろんな女子に手を付けるしさっ。ただの助平じゃん!」
真砂の欠点を挙げていくうちに腹が立ち、深成はぷんすかと握り拳を振り回した。
そんな深成を、千代は少し呆気に取られて見る。
「……真砂様のことを、そんな風に言う娘がいるとはねぇ。大抵の娘は、真砂様に抱かれれば、ころっと虜になっちまうよ」
「それがまた、わかんない。千代だって、あんな乱暴にされて、何が嬉しいのさ。いつだって、相手のことなんか考えてないじゃん、真砂って」
「ふふ……。それがまたいいのさ。力強くて、堪らない。真砂様を知ったら、他の男なんざへなちょこだよ」
うっとりと言う千代に、深成は思いきり眉間に皺を刻んだ。
同時に頭を抱える。
千代の言うことが全然わからないのは、幼さ故なのだろうか。
苦悶する深成に、千代は、ずいっと顔を近づけた。
馬鹿にしたように、深成の鼻先で、ちちち、と指を振る。
「それにねぇ、あんたの言ったことは、乱破としては必要なことなんだよ。必要だけど、普通の乱破にゃ出来ないことだ。それを出来る真砂様は、そりゃあ凄いお人なのさ」
深成は眉間に皺を寄せたまま、首を傾げた。
千代は身体を引き様、立ち上がる。
「わからないか。まぁガキだものね。『情ある乱破は自滅する』……。真砂様の持論だよ」
それだけ言うと、千代は、ひらひらと手を振って、家を出ていった。
真砂の欠点を挙げていくうちに腹が立ち、深成はぷんすかと握り拳を振り回した。
そんな深成を、千代は少し呆気に取られて見る。
「……真砂様のことを、そんな風に言う娘がいるとはねぇ。大抵の娘は、真砂様に抱かれれば、ころっと虜になっちまうよ」
「それがまた、わかんない。千代だって、あんな乱暴にされて、何が嬉しいのさ。いつだって、相手のことなんか考えてないじゃん、真砂って」
「ふふ……。それがまたいいのさ。力強くて、堪らない。真砂様を知ったら、他の男なんざへなちょこだよ」
うっとりと言う千代に、深成は思いきり眉間に皺を刻んだ。
同時に頭を抱える。
千代の言うことが全然わからないのは、幼さ故なのだろうか。
苦悶する深成に、千代は、ずいっと顔を近づけた。
馬鹿にしたように、深成の鼻先で、ちちち、と指を振る。
「それにねぇ、あんたの言ったことは、乱破としては必要なことなんだよ。必要だけど、普通の乱破にゃ出来ないことだ。それを出来る真砂様は、そりゃあ凄いお人なのさ」
深成は眉間に皺を寄せたまま、首を傾げた。
千代は身体を引き様、立ち上がる。
「わからないか。まぁガキだものね。『情ある乱破は自滅する』……。真砂様の持論だよ」
それだけ言うと、千代は、ひらひらと手を振って、家を出ていった。