夜香花
「ひゃっ」
小さな叫びと共に、深成が素早く寝返りを打ち、苦無を避ける。
しばしそのまま固まり、そろそろと首を回して、先程まで己の頭のあったところに刺さった苦無を見た。
「な、何すんのさっ! 危ないじゃないか」
飛び起き、真砂に向かって吠える。
真砂は黙って、ちらりと長老を見た。
また少し驚いたように、長老は深成を眺めている。
「お前、自分の苦無を手に入れたくせに、まだ俺の苦無を狙ってんのか」
ちょい、と床に刺さった苦無を指し、真砂が言う。
真砂を見上げて睨んでいた深成は、一瞬きょとんとし、次いで苦無に目を落とすと、ああ、と手を叩いた。
「違うもん。どうせあんたに頼んだって、同じように作ってはくれないでしょ。だから自分でやろうと思って。どうやってんのか調べてたんだもん」
「調べたんなら、元に戻しておけ」
「わかんなかったんだもんっ。だから、だったらこのまま置いておけば、あんたが直すでしょ。それを見ればいいやと思ってさ」
きゃんきゃんと吠える深成に、真砂は息をつく。
こいつと喋っていると、眉間の縦皺が消えない、と思いつつ、その場に腰を下ろす。
そこで初めて、深成は横に座る長老に気づいた。
じ、と長老を見た後、きょろきょろと真砂と長老を見比べる。
小さな叫びと共に、深成が素早く寝返りを打ち、苦無を避ける。
しばしそのまま固まり、そろそろと首を回して、先程まで己の頭のあったところに刺さった苦無を見た。
「な、何すんのさっ! 危ないじゃないか」
飛び起き、真砂に向かって吠える。
真砂は黙って、ちらりと長老を見た。
また少し驚いたように、長老は深成を眺めている。
「お前、自分の苦無を手に入れたくせに、まだ俺の苦無を狙ってんのか」
ちょい、と床に刺さった苦無を指し、真砂が言う。
真砂を見上げて睨んでいた深成は、一瞬きょとんとし、次いで苦無に目を落とすと、ああ、と手を叩いた。
「違うもん。どうせあんたに頼んだって、同じように作ってはくれないでしょ。だから自分でやろうと思って。どうやってんのか調べてたんだもん」
「調べたんなら、元に戻しておけ」
「わかんなかったんだもんっ。だから、だったらこのまま置いておけば、あんたが直すでしょ。それを見ればいいやと思ってさ」
きゃんきゃんと吠える深成に、真砂は息をつく。
こいつと喋っていると、眉間の縦皺が消えない、と思いつつ、その場に腰を下ろす。
そこで初めて、深成は横に座る長老に気づいた。
じ、と長老を見た後、きょろきょろと真砂と長老を見比べる。