夜香花
「へぇ? のわりに、お前はその室のために、俺を殺したいわけか」
「一応、お世話になった恩はあるし。それに、そういうのがないと、わらわは今後、どう生きていけばいいのかわかんないし」
つまり、室の仇討ちというのは、今のところ生きる口実、ということか。
「迷惑な話だ」
「でも、あんたが強くて良かった。簡単に殺せちゃったら、わらわはそれこそ、その後どうすればいいのかわからないもん」
へら、と笑う深成に、再び真砂の眉間には皺が寄る。
ということは、深成は今後ずっと真砂に付きまとうということではないか?
「冗談じゃない。お前のようなガキに付きまとわれるなんざ、ご免被る」
「何さ。刺客に狙われるのを恐れてるようじゃ、頭領なんか務まらないよ?」
「普通の刺客は、そうそう姿は現さない。だから、そんなもの気にならん。お前は違うだろうが! 常に俺の傍にいるってことか?」
「いいじゃん。気にしないでいいし」
頭を抱える真砂と、へらへら笑う深成を見、長老は笑いを噛み殺した。
「なるほど、なかなか面白い娘御でありますな。ふむふむ、この娘、しばし頭領の元へ置いておくのも、悪くはないと存じまする」
「言っておくが、俺は好きで置いているわけでも、ここに置いているつもりもないぞ」
「意地悪なんだから~っ」
いーっと顔を突き出し、深成は、ふわぁ、と大欠伸をした。
それに、長老はまた、ふぁふぁふぁ、と笑う。
「これはこれは、遅くに失礼しましたな。では続きは、また後日として、わしはお暇いたします」
「一応、お世話になった恩はあるし。それに、そういうのがないと、わらわは今後、どう生きていけばいいのかわかんないし」
つまり、室の仇討ちというのは、今のところ生きる口実、ということか。
「迷惑な話だ」
「でも、あんたが強くて良かった。簡単に殺せちゃったら、わらわはそれこそ、その後どうすればいいのかわからないもん」
へら、と笑う深成に、再び真砂の眉間には皺が寄る。
ということは、深成は今後ずっと真砂に付きまとうということではないか?
「冗談じゃない。お前のようなガキに付きまとわれるなんざ、ご免被る」
「何さ。刺客に狙われるのを恐れてるようじゃ、頭領なんか務まらないよ?」
「普通の刺客は、そうそう姿は現さない。だから、そんなもの気にならん。お前は違うだろうが! 常に俺の傍にいるってことか?」
「いいじゃん。気にしないでいいし」
頭を抱える真砂と、へらへら笑う深成を見、長老は笑いを噛み殺した。
「なるほど、なかなか面白い娘御でありますな。ふむふむ、この娘、しばし頭領の元へ置いておくのも、悪くはないと存じまする」
「言っておくが、俺は好きで置いているわけでも、ここに置いているつもりもないぞ」
「意地悪なんだから~っ」
いーっと顔を突き出し、深成は、ふわぁ、と大欠伸をした。
それに、長老はまた、ふぁふぁふぁ、と笑う。
「これはこれは、遅くに失礼しましたな。では続きは、また後日として、わしはお暇いたします」