夜香花
「頭領のご褒美を頂きたいがために、必死ですなぁ」
ふふ、と矢次郎が含み笑いをする。
真砂は立ち上がり、ぴっと紙を指先で真上に弾き上げた。
矢のように飛んだ紙は、一瞬で木の中に消える。
常人には目視も出来ないぐらいの速さだ。
「これ以上探っても、新しい情報はないだろう」
そう言って、真砂は矢次郎の茶屋から離れ、ぶらぶらと歩き出した。
先程得た情報を頭に描き、それを元に目的の場所へ進む。
屋敷の北側には木が生い茂っているが、真砂はそこから離れた東門の傍で足を止めた。
さわ、と吹いた風に乗って、ささやかな声が真砂に届く。
「頭領。捨吉以下七名、お側に」
ふ、と息をつき、真砂は屋敷を見上げた。
この辺りは、傍には何もない。
「中はさっき、清五郎に渡した通りだ」
ぽつりとそう言っただけで、真砂は、ざっと辺りを見回すと、屋敷から少し離れたところにある桜の木に登った。
上のほうまで登れば、屋敷の内部がかろうじて窺える。
ふふ、と矢次郎が含み笑いをする。
真砂は立ち上がり、ぴっと紙を指先で真上に弾き上げた。
矢のように飛んだ紙は、一瞬で木の中に消える。
常人には目視も出来ないぐらいの速さだ。
「これ以上探っても、新しい情報はないだろう」
そう言って、真砂は矢次郎の茶屋から離れ、ぶらぶらと歩き出した。
先程得た情報を頭に描き、それを元に目的の場所へ進む。
屋敷の北側には木が生い茂っているが、真砂はそこから離れた東門の傍で足を止めた。
さわ、と吹いた風に乗って、ささやかな声が真砂に届く。
「頭領。捨吉以下七名、お側に」
ふ、と息をつき、真砂は屋敷を見上げた。
この辺りは、傍には何もない。
「中はさっき、清五郎に渡した通りだ」
ぽつりとそう言っただけで、真砂は、ざっと辺りを見回すと、屋敷から少し離れたところにある桜の木に登った。
上のほうまで登れば、屋敷の内部がかろうじて窺える。