夜香花
 深成が、ぎ、と清五郎を睨む。
 そんな深成の態度を観察しつつ、清五郎を含めた四人は、河原におのおの腰を下ろした。

「そういや真砂。弥平の娘が、何か張り切って真砂の世話を焼いているそうだな?」

 座るなり、思い出したように清五郎が言う。
 真砂は首を傾げた。

「真砂に狩られたから、勘違いしたのかな。千代にバレたら、ややこしいぜ」

「ああ、あの娘か」

 いかにも興味なさそうに言う真砂に、深成はまた、ぎ、と彼を睨んだ。

「ちょっと。名前もろくに覚えてないって、どういうことよ。あんだけお世話焼いてくれてるのに、失礼じゃないのっ」

「飯を持ってきただけだろうが。それだって、俺にとっては何の意味もない。食わないからな」

「それだけじゃないでしょ!」

「?」

 再び真砂は、首を傾げる。
 深成も、それ以上は言わない。
 長老も清五郎もいる前で、言える内容でもない。

 少し赤い顔で、深成は、じと、と真砂を睨んだ。
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