夜香花
「違うもんっ! 真砂が助けてくれるなんて、全然思ってない!」
「嘘をつけ。しっかり真砂の背に隠れておきながら、何を言うんだか」
「この意地悪な真砂が、助けてくれるわけないでしょ! 盾にしてるだけだもんっ!」
きゃんきゃんと吠える深成に、間の真砂はじろりと顔を上げた。
「……ほんとにお前は、良い度胸をしてる」
唸るように言い、真砂は不意に手を伸ばすと、深成の首根っこを掴んだ。
そのまま力任せに、地面に倒す。
「むぎゃっ」
慌てて深成は、小石だらけの河原に顔面をぶつける前に、両腕を顔の前で組んで防御する。
一応顔は防げたが、痛いことには変わりない。
真砂が手を離した瞬間、深成は、がばっと上体を起こして真砂に噛み付いた。
「ちょっと! わらわは女の子なんだよ! 顔に傷がついたら、どうしてくれんのさ!」
「……知ったことか」
「あんたはもぅ! 都合が悪くなったら、いつでもそれ! あんたの中には、労りの言葉ってものがないのっ?」
「別に都合なんぞ、悪くなってない。お前がしょうもないことしか言わないから、返しが同じにしかならないだけだ」
「嘘をつけ。しっかり真砂の背に隠れておきながら、何を言うんだか」
「この意地悪な真砂が、助けてくれるわけないでしょ! 盾にしてるだけだもんっ!」
きゃんきゃんと吠える深成に、間の真砂はじろりと顔を上げた。
「……ほんとにお前は、良い度胸をしてる」
唸るように言い、真砂は不意に手を伸ばすと、深成の首根っこを掴んだ。
そのまま力任せに、地面に倒す。
「むぎゃっ」
慌てて深成は、小石だらけの河原に顔面をぶつける前に、両腕を顔の前で組んで防御する。
一応顔は防げたが、痛いことには変わりない。
真砂が手を離した瞬間、深成は、がばっと上体を起こして真砂に噛み付いた。
「ちょっと! わらわは女の子なんだよ! 顔に傷がついたら、どうしてくれんのさ!」
「……知ったことか」
「あんたはもぅ! 都合が悪くなったら、いつでもそれ! あんたの中には、労りの言葉ってものがないのっ?」
「別に都合なんぞ、悪くなってない。お前がしょうもないことしか言わないから、返しが同じにしかならないだけだ」