夜香花
癇癪を起こしたように、むきーっと突っかかる深成は、どう見ても単なる幼い村娘だ。
微妙な表情で、捨吉は真砂を見た。
この娘っ子が、刺客だとか忍びの残党だとか、とても信じられないのだろう。
「……お前もあまり、阿呆な態度を取るんじゃない。俺が疑われるだろうが」
渋面のまま言う真砂に、深成はまた、キッと顔を戻す。
が、深成が何か言う前に、真砂は顔を上に向け、ちょい、と梁の端っこを指差した。
「あれじゃないのか?」
つられて深成が顔を上げると、真砂の指差す先の梁の上に、ちらりと錦の袋が見える。
「あ、あれだ」
ぱ、と笑顔になり、深成は、何ら気にすることなく、とん、と床を蹴った。
難なく深成は、梁の上へ。
真砂はちらりと、捨吉に目を戻した。
驚いたような顔で、深成を見上げる捨吉を見、僅かに口角を上げる。
助走もなしで、しゃがんだ状態から事も無げに梁に飛び乗るなど、そうそう出来ることではないのだ。
呆気に取られる捨吉の前に、再び深成が、ぽんと飛び降りてきた。
「これこれ。良かった、なくなっちゃわないで」
にこにこと言う深成に向かって、真砂がにゅっと手を出した。
「よこせ」
「何でよっ」
微妙な表情で、捨吉は真砂を見た。
この娘っ子が、刺客だとか忍びの残党だとか、とても信じられないのだろう。
「……お前もあまり、阿呆な態度を取るんじゃない。俺が疑われるだろうが」
渋面のまま言う真砂に、深成はまた、キッと顔を戻す。
が、深成が何か言う前に、真砂は顔を上に向け、ちょい、と梁の端っこを指差した。
「あれじゃないのか?」
つられて深成が顔を上げると、真砂の指差す先の梁の上に、ちらりと錦の袋が見える。
「あ、あれだ」
ぱ、と笑顔になり、深成は、何ら気にすることなく、とん、と床を蹴った。
難なく深成は、梁の上へ。
真砂はちらりと、捨吉に目を戻した。
驚いたような顔で、深成を見上げる捨吉を見、僅かに口角を上げる。
助走もなしで、しゃがんだ状態から事も無げに梁に飛び乗るなど、そうそう出来ることではないのだ。
呆気に取られる捨吉の前に、再び深成が、ぽんと飛び降りてきた。
「これこれ。良かった、なくなっちゃわないで」
にこにこと言う深成に向かって、真砂がにゅっと手を出した。
「よこせ」
「何でよっ」