夜香花
「まぁいいや。真砂に聞いてみようかな。清五郎って人、わらわは苦手だし」
何気なく言った言葉に、捨吉は意外そうな顔で振り向いた。
「え、清五郎様のほうが苦手だっての?」
「だってあの人、断りもなしに、わらわの身体を調べたしっ! 初めにわらわを殺そうとしたのも、あの人だ」
細川屋敷で真砂にぶちのめされて倒れた深成を、ついでに殺そうとしたのは清五郎だ。
「真砂が止めてくれなかったら、わらわ、あの時点であの人に殺されてたんだよっ」
「そりゃあ……。そのときは、お前は敵だったわけだし」
「今も敵だよっ」
「そうなの?」
「あんたとかは違うけどさっ。わらわの目的は、真砂を殺すことだもんっ」
「何で?」
「真砂がお方様を殺したからじゃんっ」
「仇討ちかぁ」
内容に反して、何とも間抜けなやり取りである。
捨吉が慌てないのも、深成に真砂が殺せるとは思っていないからだ。
「お前もさぁ、その心意気は買うけど、あんまりそういうことを、べらべら言うんじゃないよ。里の奴から狙われるよ」
むしろ、深成の身を案じられる始末だ。
だが深成は、少し嬉しくなり、素直にこくりと頷いた。
何気なく言った言葉に、捨吉は意外そうな顔で振り向いた。
「え、清五郎様のほうが苦手だっての?」
「だってあの人、断りもなしに、わらわの身体を調べたしっ! 初めにわらわを殺そうとしたのも、あの人だ」
細川屋敷で真砂にぶちのめされて倒れた深成を、ついでに殺そうとしたのは清五郎だ。
「真砂が止めてくれなかったら、わらわ、あの時点であの人に殺されてたんだよっ」
「そりゃあ……。そのときは、お前は敵だったわけだし」
「今も敵だよっ」
「そうなの?」
「あんたとかは違うけどさっ。わらわの目的は、真砂を殺すことだもんっ」
「何で?」
「真砂がお方様を殺したからじゃんっ」
「仇討ちかぁ」
内容に反して、何とも間抜けなやり取りである。
捨吉が慌てないのも、深成に真砂が殺せるとは思っていないからだ。
「お前もさぁ、その心意気は買うけど、あんまりそういうことを、べらべら言うんじゃないよ。里の奴から狙われるよ」
むしろ、深成の身を案じられる始末だ。
だが深成は、少し嬉しくなり、素直にこくりと頷いた。