夜香花
「へぇ。それって、頭領の弱点だな。確かに頭領の気は、半端ないもんなぁ」
どこか嬉しそうに、捨吉はうんうんと頷く。
深成はふと、ここしばらく見てきた真砂の印象から、矛盾を感じた。
あれほど優れた乱破の真砂が、気を残したまま立ち去るなどあり得ない。
何故気を絶つことなく、真砂は去ったのか。
そういえば、深成が真砂の家に乗り込んだとき、真砂は『やはり来たな』と笑った。
ということは。
「あいつ、わらわが来やすいように、わざと気を絶たなかったのか」
去る前も、『俺を殺しに来い』と言っていた。
わざわざ手がかりまで残すとは。
「真砂は、わらわがほんとに里に来ると思ってたのかな」
「思ってなかっただろうさ」
間髪入れず、捨吉が答える。
「だって、誰がお前みたいな子供が、正確に気を読めると思うんだよ」
そう言われてしまうと、そうなのだ。
いくら真砂でも、そこまで深成を見抜いてはいまい。
「大体頭領が、いくら楽しみのためとはいえ、手がかりを残してくれるような優しい人だと思うのかい?」
即座に深成は、大きく首を振った。
その反応の早さに、捨吉は少し苦笑いをこぼした。
「さ、とにかく急ごう。お前の言うとおりに行ってみよう。何か思い出すかもしれないし」
そう言って、捨吉は自分の前に深成を促すと、彼女の後についてきた。
どこか嬉しそうに、捨吉はうんうんと頷く。
深成はふと、ここしばらく見てきた真砂の印象から、矛盾を感じた。
あれほど優れた乱破の真砂が、気を残したまま立ち去るなどあり得ない。
何故気を絶つことなく、真砂は去ったのか。
そういえば、深成が真砂の家に乗り込んだとき、真砂は『やはり来たな』と笑った。
ということは。
「あいつ、わらわが来やすいように、わざと気を絶たなかったのか」
去る前も、『俺を殺しに来い』と言っていた。
わざわざ手がかりまで残すとは。
「真砂は、わらわがほんとに里に来ると思ってたのかな」
「思ってなかっただろうさ」
間髪入れず、捨吉が答える。
「だって、誰がお前みたいな子供が、正確に気を読めると思うんだよ」
そう言われてしまうと、そうなのだ。
いくら真砂でも、そこまで深成を見抜いてはいまい。
「大体頭領が、いくら楽しみのためとはいえ、手がかりを残してくれるような優しい人だと思うのかい?」
即座に深成は、大きく首を振った。
その反応の早さに、捨吉は少し苦笑いをこぼした。
「さ、とにかく急ごう。お前の言うとおりに行ってみよう。何か思い出すかもしれないし」
そう言って、捨吉は自分の前に深成を促すと、彼女の後についてきた。