夜香花
以前に深成に、『頭領だって優しい』と言った捨吉だが、それは何も可愛がってくれるとか、世話を焼いてくれるとかいうことではないのだ。
厳密には『優しい』とは言わないのかもしれないが、ただただ冷たいだけの人間に、党の者全員が憧れるなどということはない。
上手く言い表すことは出来ないが、もっと深いところの人間性、というのだろうか。
『優しい』というより、『温かみ』というのかもしれない。
しかも、本能的に感じるものだ。
おそらく真砂自身には、わからないだろう。
真砂が一番、己の持つ『温かみ』に気づいていないかもしれない。
長く真砂といる党の人間だからこそ、察知できる感覚的なものなのだろう。
「いいもんっ! 折角気持ちよく寝に入ってたのにさっ」
一際甲高く吠え、ぶちぶちと文句を言いながら、深成が真砂の横に丸まる。
「おい。何故そんなにくっつくんだ」
ぴたりと背中を真砂の腿につけて丸まっている深成に、迷惑そうに真砂が言う。
深成はじろ、と目だけを動かして、真砂を見上げた。
「あんたが、わらわを置いていかないように、だよ。引っ付いておけば、あんたが動いたらすぐわかるもん」
真砂の目が、少しだけ細められた。
最後に、べ~っと舌を出し、深成はぷいっと頭を抱えると、また丸まって目を閉じた。
「警戒心が、あるんだかないんだか。よくわからない子ですねぇ」
心底呆れたように、捨吉がくるりと丸まって眠る深成を眺めて言った。
人の動きを察知する方法といい、この眠り方といい、まるで野生動物のようだ。
そのわりには、真砂に食って掛かったり、かと思えばべったり引っ付いて寝てみたり。
わけがわからない。
厳密には『優しい』とは言わないのかもしれないが、ただただ冷たいだけの人間に、党の者全員が憧れるなどということはない。
上手く言い表すことは出来ないが、もっと深いところの人間性、というのだろうか。
『優しい』というより、『温かみ』というのかもしれない。
しかも、本能的に感じるものだ。
おそらく真砂自身には、わからないだろう。
真砂が一番、己の持つ『温かみ』に気づいていないかもしれない。
長く真砂といる党の人間だからこそ、察知できる感覚的なものなのだろう。
「いいもんっ! 折角気持ちよく寝に入ってたのにさっ」
一際甲高く吠え、ぶちぶちと文句を言いながら、深成が真砂の横に丸まる。
「おい。何故そんなにくっつくんだ」
ぴたりと背中を真砂の腿につけて丸まっている深成に、迷惑そうに真砂が言う。
深成はじろ、と目だけを動かして、真砂を見上げた。
「あんたが、わらわを置いていかないように、だよ。引っ付いておけば、あんたが動いたらすぐわかるもん」
真砂の目が、少しだけ細められた。
最後に、べ~っと舌を出し、深成はぷいっと頭を抱えると、また丸まって目を閉じた。
「警戒心が、あるんだかないんだか。よくわからない子ですねぇ」
心底呆れたように、捨吉がくるりと丸まって眠る深成を眺めて言った。
人の動きを察知する方法といい、この眠り方といい、まるで野生動物のようだ。
そのわりには、真砂に食って掛かったり、かと思えばべったり引っ付いて寝てみたり。
わけがわからない。