夜香花
「それと清五郎(せいごろう)。俺は頭領じゃない。何度も言わせるな」
冷たい光を帯びた目を向け言う男に、清五郎は、ふぅ、と息をついた。
「真砂(まさご)が認めなくても、皆真砂が頭領だと認めている。皆の総意だぞ。何が不満なのだ」
男は真砂という。
今年、二十歳になる。
すらりとした細身だが、乱破らしく鍛えられた身体付きをした若者だ。
女子のようなその名の通り、黙っていれば柔和な顔立ちの、一言で言えば優男である。
だが醸し出す雰囲気は、抜き身の刃のようだ。
「俺は、つるむのは好きじゃない。そもそも誰も信用しないのに、仲間など必要ないだろう。お前たちも、勝手にするがいい」
「真砂っ」
清五郎の叫びを背に受けながらも、真砂は振り返ることなく小屋に戻る。
自分で言ったとおり、真砂は人など信用しない。
だから、仲間を頼ることもない。
何か掴めば、一人で動く。
今までだって、そうだった。
なのに、皆は真砂を頭領だと言う。
特に真砂の父が、先代頭領だったというわけではない。
中忍ではあったが、そう乱破として秀でていたわけではない。
だが、純粋に力で頭領を決めてきたこの乱破一党は、次代の頭領を真砂と決めた。
それだけ真砂の能力が秀でているということなのだ。
冷たい光を帯びた目を向け言う男に、清五郎は、ふぅ、と息をついた。
「真砂(まさご)が認めなくても、皆真砂が頭領だと認めている。皆の総意だぞ。何が不満なのだ」
男は真砂という。
今年、二十歳になる。
すらりとした細身だが、乱破らしく鍛えられた身体付きをした若者だ。
女子のようなその名の通り、黙っていれば柔和な顔立ちの、一言で言えば優男である。
だが醸し出す雰囲気は、抜き身の刃のようだ。
「俺は、つるむのは好きじゃない。そもそも誰も信用しないのに、仲間など必要ないだろう。お前たちも、勝手にするがいい」
「真砂っ」
清五郎の叫びを背に受けながらも、真砂は振り返ることなく小屋に戻る。
自分で言ったとおり、真砂は人など信用しない。
だから、仲間を頼ることもない。
何か掴めば、一人で動く。
今までだって、そうだった。
なのに、皆は真砂を頭領だと言う。
特に真砂の父が、先代頭領だったというわけではない。
中忍ではあったが、そう乱破として秀でていたわけではない。
だが、純粋に力で頭領を決めてきたこの乱破一党は、次代の頭領を真砂と決めた。
それだけ真砂の能力が秀でているということなのだ。