夜香花
しばらくそのまま、時が流れた。
どれぐらいの時間が経ったのか、痛みと出血でぼんやりとした深成にはわからないが、踏みつけられたほうの腕は、痺れてあまり感覚がない。
---やっぱり真砂には敵わなかった……---
この膠着状態に飽きたら、真砂は刀を抜いて、振り下ろすだろう。
それで、全てが終わる。
一太刀も浴びせられなかったな、と残念に思っていると、僅かに空気が動き、肩が軽くなった気がした。
出血による痺れと痛みで麻痺した感覚では、はっきりとわからないが、どうやら真砂が足を退けたらしい。
そのまま、倒れている深成の傍に、腰を下ろす。
「……なかなか良い攻撃だったな」
ぽつりと、真砂が呟いた。
「……」
深成は血溜まりに頬をつけたまま、ぼんやりとそれを聞いた。
苦無が刺さったのは右肩。
利き腕を狙ったのだろう。
お陰ですでに、右半身は感覚が怪しい。
頑張れば起き上がることも可能かもしれないが、深成は転がったまま動かなかった。
このまま血が流れれば、やがて身動き出来なくなるだろう。
だがおそらく、死ぬほどの怪我ではない。
真砂がとどめを刺せば、一瞬であの世行きだが、そうでなければ、じわじわ弱っていくだけだ。
たちが悪い、と思いつつ、深成は少しだけ目を動かして、真砂を捜した。
視界の隅に、真砂の膝頭が見えた。
座ったまま、特に動く様子はない。
とどめを刺す気はないようだが、手当てをしてくれる気もないだろう。
どっちにしろ、自分にはどうすることも出来ないな、と思い、深成は目を閉じた。
どれぐらいの時間が経ったのか、痛みと出血でぼんやりとした深成にはわからないが、踏みつけられたほうの腕は、痺れてあまり感覚がない。
---やっぱり真砂には敵わなかった……---
この膠着状態に飽きたら、真砂は刀を抜いて、振り下ろすだろう。
それで、全てが終わる。
一太刀も浴びせられなかったな、と残念に思っていると、僅かに空気が動き、肩が軽くなった気がした。
出血による痺れと痛みで麻痺した感覚では、はっきりとわからないが、どうやら真砂が足を退けたらしい。
そのまま、倒れている深成の傍に、腰を下ろす。
「……なかなか良い攻撃だったな」
ぽつりと、真砂が呟いた。
「……」
深成は血溜まりに頬をつけたまま、ぼんやりとそれを聞いた。
苦無が刺さったのは右肩。
利き腕を狙ったのだろう。
お陰ですでに、右半身は感覚が怪しい。
頑張れば起き上がることも可能かもしれないが、深成は転がったまま動かなかった。
このまま血が流れれば、やがて身動き出来なくなるだろう。
だがおそらく、死ぬほどの怪我ではない。
真砂がとどめを刺せば、一瞬であの世行きだが、そうでなければ、じわじわ弱っていくだけだ。
たちが悪い、と思いつつ、深成は少しだけ目を動かして、真砂を捜した。
視界の隅に、真砂の膝頭が見えた。
座ったまま、特に動く様子はない。
とどめを刺す気はないようだが、手当てをしてくれる気もないだろう。
どっちにしろ、自分にはどうすることも出来ないな、と思い、深成は目を閉じた。