夜香花
「お前は何で、わらわを殺さない!」
ぎ、と深成が僅かに顔を上げて言った。
一番初めのような、敵愾心剥き出しの、燃える瞳。
真砂はその目を、じっと見つめた。
「何でだろうな」
真砂の口から出た言葉は、紛れもなく本心だった。
以前にも、同じようなことを言った。
そのときは、まだ深成に対する興味があったからだと、最終的には言ったが、今となっては深成の正体は割れた。
それによって真砂やこの里に有益になる事柄もないし、言ってしまえば深成に対する興味は、もうないのだ。
だが、何故だか真砂は、深成を殺してしまう気にはならない。
それが何故なのかは、本当にわからないのだ。
そのまま、沈黙が流れる。
しばらくしても口を開かない真砂に、深成はむくりと起き上がると、囲炉裏に近づき、挿してあった魚の串を引っこ抜いた。
そして、がぶりとかぶりつく。
「……おい」
真砂が渋面で深成を見る。
つ~ん、と、深成はそっぽを向いたまま、むしゃむしゃと魚を食べ続けた。
真砂は一つ息をつき、鍋の中身を椀に取る。
最早こういうことで深成と喧嘩をするのは馬鹿馬鹿しいと思っているのだ。
ぎ、と深成が僅かに顔を上げて言った。
一番初めのような、敵愾心剥き出しの、燃える瞳。
真砂はその目を、じっと見つめた。
「何でだろうな」
真砂の口から出た言葉は、紛れもなく本心だった。
以前にも、同じようなことを言った。
そのときは、まだ深成に対する興味があったからだと、最終的には言ったが、今となっては深成の正体は割れた。
それによって真砂やこの里に有益になる事柄もないし、言ってしまえば深成に対する興味は、もうないのだ。
だが、何故だか真砂は、深成を殺してしまう気にはならない。
それが何故なのかは、本当にわからないのだ。
そのまま、沈黙が流れる。
しばらくしても口を開かない真砂に、深成はむくりと起き上がると、囲炉裏に近づき、挿してあった魚の串を引っこ抜いた。
そして、がぶりとかぶりつく。
「……おい」
真砂が渋面で深成を見る。
つ~ん、と、深成はそっぽを向いたまま、むしゃむしゃと魚を食べ続けた。
真砂は一つ息をつき、鍋の中身を椀に取る。
最早こういうことで深成と喧嘩をするのは馬鹿馬鹿しいと思っているのだ。