夜香花
「聞いて素直に答えるとも思えんしな……。あいつに頼ろうにも、覚えてない可能性のほうが高いし、どうするか……」
「ああ、あのガキ、真田の姫君だって?」
おそらく長老辺りから聞いたのだろう。
清五郎が、奥で眠る深成を眺めて、少し笑った。
その辺の村娘のように質素な着物に、貧相な身体。
床に転がって眠る、この小さな少女は、どう見ても大名の姫君などには見えない。
「人は見かけによらんというが、それにしても、限度があるよな」
「何だとぅっ」
いきなり深成が飛び起きて、清五郎を睨んだ。
少し驚いて、清五郎は深成を見る。
「寝てたんじゃなかったのか?」
「折角気持ちよく寝てたのに、あんたが入ってきたから目が覚めたんだよっ」
ということは、しばらくは狸寝入りをしていた、ということだ。
しかし。
真砂は訝しげに深成を見つめた。
真砂と二人のときは、深成は本気でぐーすかと寝ていた。
それは今までずっとそうだった。
深成は真砂の傍では、警戒心なく眠るのだ。
「ああ、あのガキ、真田の姫君だって?」
おそらく長老辺りから聞いたのだろう。
清五郎が、奥で眠る深成を眺めて、少し笑った。
その辺の村娘のように質素な着物に、貧相な身体。
床に転がって眠る、この小さな少女は、どう見ても大名の姫君などには見えない。
「人は見かけによらんというが、それにしても、限度があるよな」
「何だとぅっ」
いきなり深成が飛び起きて、清五郎を睨んだ。
少し驚いて、清五郎は深成を見る。
「寝てたんじゃなかったのか?」
「折角気持ちよく寝てたのに、あんたが入ってきたから目が覚めたんだよっ」
ということは、しばらくは狸寝入りをしていた、ということだ。
しかし。
真砂は訝しげに深成を見つめた。
真砂と二人のときは、深成は本気でぐーすかと寝ていた。
それは今までずっとそうだった。
深成は真砂の傍では、警戒心なく眠るのだ。