夜香花
真砂も深成も細く、余計な肉がない分、緩衝材なしにお互いの骨がお互いの身体を圧迫する。
そうなると、俄然全体重を真砂の肩にかけている深成のほうが痛手を受ける。
が、真砂は知ったことではない、という風に、そのまま歩き出す。
深成も暴れることなく、真砂の肩に、ぶらんとぶら下がった。
さすがに眠るほどの居心地ではないが。
そのまま真砂は、広場に入った。
「頭領」
清五郎が、真砂に気づいて膝を付いた。
里の者全員が集まるような場では、清五郎も真砂を頭領として扱う。
決して呼び捨てにはしない。
その場にいた里の男たち数人が、同じように真砂に向かって膝を付いた。
「何かわかったか?」
肩に深成を担いだまま、真砂が視線を、木に縛られている男に据えて言った。
柿色の短い着物に、裾を絞った動きやすい袴。
おそらく頭巾で顔を隠していたのだろう、切り裂かれた布が、首に巻き付いている。
「そうだな……。こいつ自身からは何も」
清五郎の答えに、真砂は、そうだろうな、と呟いた。
そして、担いでいた深成を、いきなり地面に落とす。
「にゃんっ!」
慌てて深成が、身体を捻って受け身を取る。
そして、がばっと立ち上がった。
そうなると、俄然全体重を真砂の肩にかけている深成のほうが痛手を受ける。
が、真砂は知ったことではない、という風に、そのまま歩き出す。
深成も暴れることなく、真砂の肩に、ぶらんとぶら下がった。
さすがに眠るほどの居心地ではないが。
そのまま真砂は、広場に入った。
「頭領」
清五郎が、真砂に気づいて膝を付いた。
里の者全員が集まるような場では、清五郎も真砂を頭領として扱う。
決して呼び捨てにはしない。
その場にいた里の男たち数人が、同じように真砂に向かって膝を付いた。
「何かわかったか?」
肩に深成を担いだまま、真砂が視線を、木に縛られている男に据えて言った。
柿色の短い着物に、裾を絞った動きやすい袴。
おそらく頭巾で顔を隠していたのだろう、切り裂かれた布が、首に巻き付いている。
「そうだな……。こいつ自身からは何も」
清五郎の答えに、真砂は、そうだろうな、と呟いた。
そして、担いでいた深成を、いきなり地面に落とす。
「にゃんっ!」
慌てて深成が、身体を捻って受け身を取る。
そして、がばっと立ち上がった。