夜香花
「戸隠忍びの印です」
忍びの印は、確かに党ごとに違うが、それを見ただけでどこの党かわかるほどの知識の持ち主はそういない。
男は驚いたように、長老を見た。
「戸隠……。真田の忍びか」
「おそらく」
戸隠忍び全てが真田についているわけではないが、あの辺りの忍びは真田系だ。
まず間違いないだろう。
「真田の忍びが、こんな里に何しに来た。真田信繁は、先の戦で負けたのだろ。今更援軍を頼みに来たわけでもあるまい」
前に立って、真砂は男に問うた。
真田に繋がる者が来たからといって、すぐに深成に結びつけるのは早計だ。
深成の存在は、真田の家でも特殊だったろう。
大方の者が、知らなかったのではないか。
深成に関することでなければ、あとは援軍ぐらいしか思いつかない。
それも、今となっては遅いはずだが。
「殿様を、どこぞに落とそうとでも思っているのかい」
重ねて問う真砂の後ろから、深成が男を覗き込んだ。
だがやはり、深成にも男にも、表情に動きはない。
忍びの印は、確かに党ごとに違うが、それを見ただけでどこの党かわかるほどの知識の持ち主はそういない。
男は驚いたように、長老を見た。
「戸隠……。真田の忍びか」
「おそらく」
戸隠忍び全てが真田についているわけではないが、あの辺りの忍びは真田系だ。
まず間違いないだろう。
「真田の忍びが、こんな里に何しに来た。真田信繁は、先の戦で負けたのだろ。今更援軍を頼みに来たわけでもあるまい」
前に立って、真砂は男に問うた。
真田に繋がる者が来たからといって、すぐに深成に結びつけるのは早計だ。
深成の存在は、真田の家でも特殊だったろう。
大方の者が、知らなかったのではないか。
深成に関することでなければ、あとは援軍ぐらいしか思いつかない。
それも、今となっては遅いはずだが。
「殿様を、どこぞに落とそうとでも思っているのかい」
重ねて問う真砂の後ろから、深成が男を覗き込んだ。
だがやはり、深成にも男にも、表情に動きはない。