夜香花
「仇? ……あ、ああ~。そういえば、そうだったね!」
ぽん、と呑気に拳を叩く。
仇討ちと聞いても、すぐにはわからなかったようだ。
あり得ない、と真砂はまた一つ、大きくため息をつく。
「仇討ちは、やめたのか?」
呆れたように言う真砂に、深成は膝先の小石を弄んだ。
「だって、敵わないもん。負けたじゃん」
「……元々、そんな真剣でもなかったしな」
少し深成が顔を上げた。
が、真砂はそのまま、話を続ける。
「お前、機会は結構あったのに、俺に手出ししないじゃないか」
「……」
「確かに俺は、お前を完膚無きまでに打ちのめしたかもしれんが、あのときも言ったように、お前の攻撃には僅かな迷いがある。死にたくないっていう心理か? 心に僅かでも、そういう躊躇いがあると、隙ができるぞ」
「わらわ、死にたくなかったのかな」
でもこのまま生きていくにしても、どうしたらいいのか。
今は真砂に付きまとっているが、ずっとこの先も付きまとい続けるわけにはいかないだろう。
ぽん、と呑気に拳を叩く。
仇討ちと聞いても、すぐにはわからなかったようだ。
あり得ない、と真砂はまた一つ、大きくため息をつく。
「仇討ちは、やめたのか?」
呆れたように言う真砂に、深成は膝先の小石を弄んだ。
「だって、敵わないもん。負けたじゃん」
「……元々、そんな真剣でもなかったしな」
少し深成が顔を上げた。
が、真砂はそのまま、話を続ける。
「お前、機会は結構あったのに、俺に手出ししないじゃないか」
「……」
「確かに俺は、お前を完膚無きまでに打ちのめしたかもしれんが、あのときも言ったように、お前の攻撃には僅かな迷いがある。死にたくないっていう心理か? 心に僅かでも、そういう躊躇いがあると、隙ができるぞ」
「わらわ、死にたくなかったのかな」
でもこのまま生きていくにしても、どうしたらいいのか。
今は真砂に付きまとっているが、ずっとこの先も付きまとい続けるわけにはいかないだろう。