夜香花
「それだけの能力があるのに、何で本気で寝てる敵を前にして、何もしなかったんだ。寝たふりかどうかぐらい、もうわかるだろう」
確かに真砂を見てあれほど驚いたのは、この男が本気で寝ているとわかったからだ。
「……真砂はさ、人嫌いでしょ。この先も、ずっと一人でいるつもり?」
全然関係ないことを言う深成に、真砂は怪訝な表情になった。
「里の人って、それなりの歳になれば、皆誰かと所帯を持つもの? 真砂もそのうち、ちゃんとした家庭を持つの?」
「俺が?」
ぶは、と吹き出しながら、真砂が言う。
とんでもない、という顔だ。
「何でわざわざ他人を傍に置かにゃならんのだ。俺はガキだって好きじゃない」
「わらわだって、子供なんでしょ」
「それが何だ?」
「わらわ、ずっと真砂の傍にいるじゃん」
「別に俺が好きで置いているわけじゃない。お前が勝手にそこにいるだけだろ」
少し頬を膨らませた深成だったが、真砂はそう言いながらも、深成を追い出すことはしない。
好きで置いているわけではなくても、強制的に排除する気はないようだということに、深成はほっとした。
確かに真砂を見てあれほど驚いたのは、この男が本気で寝ているとわかったからだ。
「……真砂はさ、人嫌いでしょ。この先も、ずっと一人でいるつもり?」
全然関係ないことを言う深成に、真砂は怪訝な表情になった。
「里の人って、それなりの歳になれば、皆誰かと所帯を持つもの? 真砂もそのうち、ちゃんとした家庭を持つの?」
「俺が?」
ぶは、と吹き出しながら、真砂が言う。
とんでもない、という顔だ。
「何でわざわざ他人を傍に置かにゃならんのだ。俺はガキだって好きじゃない」
「わらわだって、子供なんでしょ」
「それが何だ?」
「わらわ、ずっと真砂の傍にいるじゃん」
「別に俺が好きで置いているわけじゃない。お前が勝手にそこにいるだけだろ」
少し頬を膨らませた深成だったが、真砂はそう言いながらも、深成を追い出すことはしない。
好きで置いているわけではなくても、強制的に排除する気はないようだということに、深成はほっとした。