夜香花
---何だかんだ言っても、皆真砂の教えを守ってるんだ---
教えといっても、真砂がそういう風に皆を指導したわけではない。
真砂がこのように考えているだろうというところから、各自が己で理解しているのだ。
皆がそれぞれ己で考えて動くことで、指示を待つことなく迅速に動ける。
動きながら、真砂にはきちんと報告を入れる。
それこそが、皆が真砂を頭領だと認めている証拠だ。
「無理に戦うことはない。相手の人数も多いだろうしな。でも、追ってくる奴は殺せよ。隠れ場所まで割れたら終わりだ」
「わかった」
清五郎が駆けていこうとしたとき、向こうのほうで金属音が響いた。
いよいよ軍勢が攻めてきたらしい。
「頭領っ! 敵は東のほうから侵入を開始しました!」
捨吉が、叫びながら駆けてきた。
「道を開いているのは北側だな。気づかれないうちに、逃げられるだけ逃げろ。火の手は四方から上がるだろう」
短く言い、真砂は不意に深成の手を払うと、襟首を掴んだ。
「お前も、とっとと行くんだな」
ぐい、と前に引っ張り出す。
そのまま投げ出されそうになり、深成は慌てて振り返った。
「ま、真砂はっ?」
「俺のことなんぞ、どうでもいい」
「よくないっ! 連れてってくれるって言ったじゃんっ!」
教えといっても、真砂がそういう風に皆を指導したわけではない。
真砂がこのように考えているだろうというところから、各自が己で理解しているのだ。
皆がそれぞれ己で考えて動くことで、指示を待つことなく迅速に動ける。
動きながら、真砂にはきちんと報告を入れる。
それこそが、皆が真砂を頭領だと認めている証拠だ。
「無理に戦うことはない。相手の人数も多いだろうしな。でも、追ってくる奴は殺せよ。隠れ場所まで割れたら終わりだ」
「わかった」
清五郎が駆けていこうとしたとき、向こうのほうで金属音が響いた。
いよいよ軍勢が攻めてきたらしい。
「頭領っ! 敵は東のほうから侵入を開始しました!」
捨吉が、叫びながら駆けてきた。
「道を開いているのは北側だな。気づかれないうちに、逃げられるだけ逃げろ。火の手は四方から上がるだろう」
短く言い、真砂は不意に深成の手を払うと、襟首を掴んだ。
「お前も、とっとと行くんだな」
ぐい、と前に引っ張り出す。
そのまま投げ出されそうになり、深成は慌てて振り返った。
「ま、真砂はっ?」
「俺のことなんぞ、どうでもいい」
「よくないっ! 連れてってくれるって言ったじゃんっ!」