夜香花
「そんな顔しないの。真砂、片手なんだよ? 器持ったら、どうやって食べるのさ」
言われてみれば、その通りである。
だが真砂は、深成の手から器を取ると、ぷい、と顔を背けた。
そして、ずず、と直接粥を啜る。
深成はちょっと不満そうに、頬を膨らませたが、すぐにもう一つの器に粥を入れ、自分も食べ始めた。
「美味しい~。疲れたときのお粥は、格別だねぇ」
ひとしきり粥を掻き込み、満足そうに深成は器を置いた。
真砂は器を置くと、壁にもたれて目を閉じる。
やはりまだ、長時間起きているのは辛いのだろう。
「はい、ご飯食べたら寝なさ~い」
とん、と再び肩を押す深成に、真砂はじろりと視線を動かした。
が、深成は気にせず、筵をめくって、ぽんぽんと叩いた。
「何よ。もうあんちゃんいないんだから、そんな警戒しなくてもいいでしょ」
「お前がいる」
「何言ってんの、今更。真砂、わらわの前だったら、普通に寝るじゃん」
真砂は思わず、渋面になって頭を押さえた。
「……確かに、俺とも思えない失態だ」
「もぅ、何さ。そんなことばっか言ってる場合じゃないでしょ。真砂もさ、一人ぐらい気を許してもいいんじゃない」
「馬鹿。一人に気を許すと、そこから鈍っていくんだ」
「そうかなぁ。真砂が油断してるのは、わらわだけじゃん?」
言われてみれば、その通りである。
だが真砂は、深成の手から器を取ると、ぷい、と顔を背けた。
そして、ずず、と直接粥を啜る。
深成はちょっと不満そうに、頬を膨らませたが、すぐにもう一つの器に粥を入れ、自分も食べ始めた。
「美味しい~。疲れたときのお粥は、格別だねぇ」
ひとしきり粥を掻き込み、満足そうに深成は器を置いた。
真砂は器を置くと、壁にもたれて目を閉じる。
やはりまだ、長時間起きているのは辛いのだろう。
「はい、ご飯食べたら寝なさ~い」
とん、と再び肩を押す深成に、真砂はじろりと視線を動かした。
が、深成は気にせず、筵をめくって、ぽんぽんと叩いた。
「何よ。もうあんちゃんいないんだから、そんな警戒しなくてもいいでしょ」
「お前がいる」
「何言ってんの、今更。真砂、わらわの前だったら、普通に寝るじゃん」
真砂は思わず、渋面になって頭を押さえた。
「……確かに、俺とも思えない失態だ」
「もぅ、何さ。そんなことばっか言ってる場合じゃないでしょ。真砂もさ、一人ぐらい気を許してもいいんじゃない」
「馬鹿。一人に気を許すと、そこから鈍っていくんだ」
「そうかなぁ。真砂が油断してるのは、わらわだけじゃん?」