夜香花
考え込む清五郎に、落ち着かなく視線を彷徨わせていた深成は、大木の根元に、美味しそうなキノコが生えているのに気づいた。
ちらりと視線を上げると、清五郎はまだ何か考え込んでいる。
「……ちょっと失礼」
深成はひょい、と屈んで、清五郎の足元のキノコを採った。
ついでに目に付いた山菜も摘む。
清五郎はその様子を眺め、深成が身を起こしたところで、彼女の手の中にある食材に目を落とした。
「そんなもんじゃ、身にならんぞ。お前の分か?」
「わらわと、真砂の」
「手当てだけじゃなく、そういった身の回りの世話も、この五日間、お前がしていたわけか」
「うん……。だって真砂は熱が高かったし。……片手だし」
下を向いて言う深成を、相変わらず清五郎は、じっと見る。
「お前は何故、真砂の傍にいる?」
不意に、清五郎が問うた。
「初めは真砂を殺すために来たんだろう? つい最近も、真砂に斬りかかっていったそうじゃないか。そうかと思えば、片腕になった真砂を必死で看病してみたり。本気で真砂を殺すつもりなら、この五日間など、またとない機会だ。何もお前が手を下さなくても、放っておけば、真砂は死んだかもしれんのだし」
礼は言うがな、と小さく呟き、清五郎は深成を見る。
深成は、困ったような顔をした。
ちらりと視線を上げると、清五郎はまだ何か考え込んでいる。
「……ちょっと失礼」
深成はひょい、と屈んで、清五郎の足元のキノコを採った。
ついでに目に付いた山菜も摘む。
清五郎はその様子を眺め、深成が身を起こしたところで、彼女の手の中にある食材に目を落とした。
「そんなもんじゃ、身にならんぞ。お前の分か?」
「わらわと、真砂の」
「手当てだけじゃなく、そういった身の回りの世話も、この五日間、お前がしていたわけか」
「うん……。だって真砂は熱が高かったし。……片手だし」
下を向いて言う深成を、相変わらず清五郎は、じっと見る。
「お前は何故、真砂の傍にいる?」
不意に、清五郎が問うた。
「初めは真砂を殺すために来たんだろう? つい最近も、真砂に斬りかかっていったそうじゃないか。そうかと思えば、片腕になった真砂を必死で看病してみたり。本気で真砂を殺すつもりなら、この五日間など、またとない機会だ。何もお前が手を下さなくても、放っておけば、真砂は死んだかもしれんのだし」
礼は言うがな、と小さく呟き、清五郎は深成を見る。
深成は、困ったような顔をした。