夜香花
黙っている深成に確信を得たように、千代は、ふんと盛大に鼻を鳴らした。
「違うとでも言うのかい? そうでもなきゃ、真砂様がこんな大怪我負うわけないだろ」
ぐ、と捨吉も押し黙る。
だが、散らばった食材を拾い集めながら、捨吉は反論した。
「それはそうです。でも千代姐さん。頭領が、そういう行動をしたことが、どういうことかわかってますか?」
「……何だって?」
訝しげな顔を向ける千代に、捨吉はまとめた食材を脇に置き、転がったままの深成を助け起こしながら続けた。
「本気で邪魔だと思ってたら、頭領は深成など、簡単に見捨ててます。大怪我してまで、深成を救ったんですよ。深成が大事だからに決まってるじゃないですか」
「なっ……」
千代の目が、大きく見開かれた。
その後ろで、真砂がちらりと捨吉を見る。
「この子は、どっかの間者でもない。忍びでもない、ただの子供ですよ。ただ子犬のように、頭領を慕っている。打算や邪心がなければ、頭領だって付き合いやすいでしょう」
大丈夫かい? と言いつつ、捨吉は深成を起こした。
その瞬間、深成の目から涙が落ちる。
えぐえぐと頬を押さえて泣きじゃくる深成を宥めながら、身体についた砂を払い、捨吉は深成を真砂のほうへと促した。
「ほら。お前しか、頭領のお世話は出来ないんだ」
そう言われ、深成は泣きながらも、捨吉の集めてくれた枯れ木を組み、枯れ葉を入れる。
捨吉がそこに火を付けた。
「違うとでも言うのかい? そうでもなきゃ、真砂様がこんな大怪我負うわけないだろ」
ぐ、と捨吉も押し黙る。
だが、散らばった食材を拾い集めながら、捨吉は反論した。
「それはそうです。でも千代姐さん。頭領が、そういう行動をしたことが、どういうことかわかってますか?」
「……何だって?」
訝しげな顔を向ける千代に、捨吉はまとめた食材を脇に置き、転がったままの深成を助け起こしながら続けた。
「本気で邪魔だと思ってたら、頭領は深成など、簡単に見捨ててます。大怪我してまで、深成を救ったんですよ。深成が大事だからに決まってるじゃないですか」
「なっ……」
千代の目が、大きく見開かれた。
その後ろで、真砂がちらりと捨吉を見る。
「この子は、どっかの間者でもない。忍びでもない、ただの子供ですよ。ただ子犬のように、頭領を慕っている。打算や邪心がなければ、頭領だって付き合いやすいでしょう」
大丈夫かい? と言いつつ、捨吉は深成を起こした。
その瞬間、深成の目から涙が落ちる。
えぐえぐと頬を押さえて泣きじゃくる深成を宥めながら、身体についた砂を払い、捨吉は深成を真砂のほうへと促した。
「ほら。お前しか、頭領のお世話は出来ないんだ」
そう言われ、深成は泣きながらも、捨吉の集めてくれた枯れ木を組み、枯れ葉を入れる。
捨吉がそこに火を付けた。