夜香花
深成は慌てて、捨吉の背に叫んだ。
「あ、あんちゃん! 無茶しないで! 六郎もっ」
真砂以外の皆の視線が、深成に集まった。
「……於市様。この者ら、於市様にとって、そんなに大事なのですか?」
少しだけ眉を顰めながら、六郎が問う。
即座に深成は、大きく頷いた。
「皆、いい人だよ! ……あ、すぐに人を信用するなって言われたけど」
清五郎に言われたことを思い出し、ごにょごにょと言う深成を見つめ、六郎は一つ息をつくと、片膝を付いた。
真っ直ぐ真砂だけを見る。
「それがしは、真田十勇士が一人、海野 六郎(うんの ろくろう)。我が殿、信繁様の娘御、於市様の命をお守りいただいたことについては、お礼申し上げる」
片膝は付いているが、あまり好意的ではない視線で、真砂に名乗る。
真砂も表情を変えない。
その若さに似合わぬ鋭い視線に、六郎は少し感心した。
「……こいつは、真田の姫君か」
わかっていたことだが、確かめるように、真砂が言う。
六郎は頷いた。
「あ、あんちゃん! 無茶しないで! 六郎もっ」
真砂以外の皆の視線が、深成に集まった。
「……於市様。この者ら、於市様にとって、そんなに大事なのですか?」
少しだけ眉を顰めながら、六郎が問う。
即座に深成は、大きく頷いた。
「皆、いい人だよ! ……あ、すぐに人を信用するなって言われたけど」
清五郎に言われたことを思い出し、ごにょごにょと言う深成を見つめ、六郎は一つ息をつくと、片膝を付いた。
真っ直ぐ真砂だけを見る。
「それがしは、真田十勇士が一人、海野 六郎(うんの ろくろう)。我が殿、信繁様の娘御、於市様の命をお守りいただいたことについては、お礼申し上げる」
片膝は付いているが、あまり好意的ではない視線で、真砂に名乗る。
真砂も表情を変えない。
その若さに似合わぬ鋭い視線に、六郎は少し感心した。
「……こいつは、真田の姫君か」
わかっていたことだが、確かめるように、真砂が言う。
六郎は頷いた。