夜香花
泣き疲れて寝ていた深成は、ふと物音に目を覚ました。
すでに家の中は真っ暗だ。
ひりひりと痛む手首と、空腹でしくしくと痛む胃袋に、じわりと涙を浮かべながら、のろのろと首を回した深成は、ぎょっとした。
反対側で、真砂が女を抱いているのだ。
---ち、千代っ---
真砂の下で、あられもなく乱れているのは、しばらく一緒に暮らしていた千代だ。
「……ああっ真砂様っ……」
千代が弓なりに身体を反らせ、真砂の背に爪を立てる。
が、真砂はその手を払いのけた。
乱暴に、千代の片足を持ち上げ、身体を反転させる。
「んっ……ううっ」
千代の表情が歪む。
幼い深成には、まるでその行為は、千代を苛めているようにしか見えない。
もしそうであっても、今の自分には千代を助けることは出来ないし、それに千代は、どうやら敵側だったようだ。
悲しくなり、ぐすん、と鼻を啜っていると、いきなり千代が甲高い嬌声を上げた。
びく、として顔を上げると、くたりとした千代を投げ出し、真砂が身を起こしたところだった。
すでに家の中は真っ暗だ。
ひりひりと痛む手首と、空腹でしくしくと痛む胃袋に、じわりと涙を浮かべながら、のろのろと首を回した深成は、ぎょっとした。
反対側で、真砂が女を抱いているのだ。
---ち、千代っ---
真砂の下で、あられもなく乱れているのは、しばらく一緒に暮らしていた千代だ。
「……ああっ真砂様っ……」
千代が弓なりに身体を反らせ、真砂の背に爪を立てる。
が、真砂はその手を払いのけた。
乱暴に、千代の片足を持ち上げ、身体を反転させる。
「んっ……ううっ」
千代の表情が歪む。
幼い深成には、まるでその行為は、千代を苛めているようにしか見えない。
もしそうであっても、今の自分には千代を助けることは出来ないし、それに千代は、どうやら敵側だったようだ。
悲しくなり、ぐすん、と鼻を啜っていると、いきなり千代が甲高い嬌声を上げた。
びく、として顔を上げると、くたりとした千代を投げ出し、真砂が身を起こしたところだった。