夜香花
---乱破のくせに、変な格好……---
普通の着流し姿の真砂に、深成は知らず不躾な視線を投げる。
最後に、帯に刀をぶっ込んだ姿は、単なる侍にしか見えない。
もっとも髷などは結っていないが。
真砂は一旦腰を落とすと、茶碗のような器に口を付けた。
そして、空になったそれを、深成の顔の前に投げて寄越す。
怪訝な表情で目の前に転がる器を見る深成を一瞥すると、真砂は背を向けた。
そのまま歩き出す。
真砂が去った後で、深成はのろのろと起き上がった。
見ると、焚き火には小さな鍋が置かれ、粥のようなものが湯気を立てている。
その横には、魚が串に刺さって火にくべられていた。
深成は夢中で器に鍋の中身を空け、口に運んだ。
薄い塩味だけだが、この上なく美味く感じ、思わず涙が浮かぶ。
ひとしきり粥を掻き込んだ深成は、やっと一息ついて周りを見渡した。
河原には、もう真砂の姿はない。
深成は焚き火に当たりながら、魚にかぶりついた。
冷えていた身体が温まり、腹も満たされてくる。
同時に、頭も動き出した。
といっても、幼い頭では大した考えは浮かばない。
---あいつ、何のつもりか知らないけど、わらわを殺さなかったこと、そのうち後悔させてやるんだからねーっ---
もしゃもしゃと、頬が汚れるのも気にせず、深成は焼かれていた魚を平らげた。
普通の着流し姿の真砂に、深成は知らず不躾な視線を投げる。
最後に、帯に刀をぶっ込んだ姿は、単なる侍にしか見えない。
もっとも髷などは結っていないが。
真砂は一旦腰を落とすと、茶碗のような器に口を付けた。
そして、空になったそれを、深成の顔の前に投げて寄越す。
怪訝な表情で目の前に転がる器を見る深成を一瞥すると、真砂は背を向けた。
そのまま歩き出す。
真砂が去った後で、深成はのろのろと起き上がった。
見ると、焚き火には小さな鍋が置かれ、粥のようなものが湯気を立てている。
その横には、魚が串に刺さって火にくべられていた。
深成は夢中で器に鍋の中身を空け、口に運んだ。
薄い塩味だけだが、この上なく美味く感じ、思わず涙が浮かぶ。
ひとしきり粥を掻き込んだ深成は、やっと一息ついて周りを見渡した。
河原には、もう真砂の姿はない。
深成は焚き火に当たりながら、魚にかぶりついた。
冷えていた身体が温まり、腹も満たされてくる。
同時に、頭も動き出した。
といっても、幼い頭では大した考えは浮かばない。
---あいつ、何のつもりか知らないけど、わらわを殺さなかったこと、そのうち後悔させてやるんだからねーっ---
もしゃもしゃと、頬が汚れるのも気にせず、深成は焼かれていた魚を平らげた。