夜香花
「ふ~む、やっぱりな。逃れた者は、皆同じ党の者か? そこまではわからんか?」
首を捻る清五郎に、捨吉はまた、力なく首を振った。
「はい。逃れた者がどの党の誰なのかまでは。でも、主立った党でないと、自然滅びましょう。落ちた者らは焼き討ちの後和睦が成って助命されたらしいですが、そんなこと、それなりの地位の者しかできません。下っ端は、そういう庇護下にないと生き延びるのは難しいかと」
捨吉が言ったとき、不意にぱちぱちと乾いた音がした。
驚いて視線を動かせば、真砂が手を叩いている。
「やるじゃないか。よく考えたな」
低い真砂の声に、捨吉も羽月も、口を開けたまま固まった。
これといった収穫なく帰ってきたのだ。
それでなくても、真砂が人を褒めることなどあり得ないのに。
「……真砂?」
清五郎も、怪訝な表情で振り返る。
「褒めるようなことか? 結局何がわかったわけでもないぞ」
真砂に褒められて、感極まっている捨吉と羽月を、清五郎はばっさりと斬り捨てる。
が、真砂はもたれていた木から身を起こすと清五郎の横に立った。
「それなりのでかい党でないと、助命申請もままならない、か。そうだな、ま、言ったことはこなせてないが、良いところに気づいた。つまり、『深成』の党も滅んでいる、ということだな」
「は、はいっ! お、俺たちが調べた限りでは、そんな名前の党は、ありませんでした」
不必要に声を張り、捨吉が答える。
首を捻る清五郎に、捨吉はまた、力なく首を振った。
「はい。逃れた者がどの党の誰なのかまでは。でも、主立った党でないと、自然滅びましょう。落ちた者らは焼き討ちの後和睦が成って助命されたらしいですが、そんなこと、それなりの地位の者しかできません。下っ端は、そういう庇護下にないと生き延びるのは難しいかと」
捨吉が言ったとき、不意にぱちぱちと乾いた音がした。
驚いて視線を動かせば、真砂が手を叩いている。
「やるじゃないか。よく考えたな」
低い真砂の声に、捨吉も羽月も、口を開けたまま固まった。
これといった収穫なく帰ってきたのだ。
それでなくても、真砂が人を褒めることなどあり得ないのに。
「……真砂?」
清五郎も、怪訝な表情で振り返る。
「褒めるようなことか? 結局何がわかったわけでもないぞ」
真砂に褒められて、感極まっている捨吉と羽月を、清五郎はばっさりと斬り捨てる。
が、真砂はもたれていた木から身を起こすと清五郎の横に立った。
「それなりのでかい党でないと、助命申請もままならない、か。そうだな、ま、言ったことはこなせてないが、良いところに気づいた。つまり、『深成』の党も滅んでいる、ということだな」
「は、はいっ! お、俺たちが調べた限りでは、そんな名前の党は、ありませんでした」
不必要に声を張り、捨吉が答える。