夜香花
「……お前は一体、いくつなんだ」

 若干呆れ気味に、真砂は深成に問うた。
 幼くても、忍びの者であれば、それなりに己に課せられた『使命』というものがわかっているものだ。
 そういう環境で育つため、自然と使命感というものは備わるものである。

「十一」

「ガキには変わりないが、何もわからないほどの子供でもあるまい。一応頭領として扱われてたのなら、なおさらだ」

「頭領……」

「お前が頭なのだろ」

 相変わらず寝そべったまま、深成は、じっと真砂を見た。
 真砂も頭領だ。

「わらわとあんたは、対等ってことか」

 深成の言葉に、真砂はまた、馬鹿にしたように鼻を鳴らした。

「別に俺は、頭領じゃない」

「嘘だ。皆あんたを頭領って呼ぶじゃん」

「あいつらは、俺を頭領にしたいみたいだがな」

「嫌なの?」

 意外そうに言う深成を、真砂も意外そうに見た。
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