たまごのような恋 殻を割ったそのとき
 言葉を続けたかったが、とっくに札を出していた。

「これからどうする?どこか行くか?」
「ううん。家に帰る」
「じゃあ、バス停はあっちだな」

 逆方向に向いて歩いた。私がまだ幼かった頃、ケーキの箱を持ったまま、転びそうになってしまったため、家に帰り、箱を開けてみると、ケーキの一部がつぶれた状態になってしまった。何かを持っているときだけでなく、持っていないときでも、小さいときはよく転んで、傷をつくっていた。そんなことを思い出しながらため息をついていると、支樹が首を傾げていた。

「どうした?疲れたか?」
「ううん、今でも取り除きたいものがあるのにさ・・・・・・」

支樹はますますわからないという表情で私を見ていた。

「自分の嫌なところだよ」
「何、それ?」
「な、内緒。笑うだろうから」
「じゃあ、想像しておく」
「もう、やめて」

 距離が近かったため、すぐにバス停に到着した。

「あ、今日はありがとね。誘ってくれて」
「いえいえ、一人で行くより、ペットを連れて行ったら、楽しくなるかなと思ったから」
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