たまごのような恋 殻を割ったそのとき
「うん、ありがと」

 お菓子の袋を開けて、口の中に入れた。いつもならおいしいと思うのだが、今日はお客さんがいるのでなんだか妙に落ち着かない。

「料理が得意だよね?」

 いきなり声をかけられたので、クッキーの欠片をこぼすところだった。その様子をしっかりと見ていた彼はくすくすと口元に手を当てて笑っていた。

「少しだけ出来る程度です」

 少し早口で話した後、ジュースを飲んだ。

「じゃあ、今度作ってもらおうかな」
「はい?」

 いきなり言ってきたので、唐突だなと思った。

「いきなりそんなことをいうか、普通」
「いいじゃないか、挨拶だよ」
「どこがだよ」

 兄は呆れた顔で支樹を見ていた。私はときどき、こうして兄の家に来ていた。いつもなら一緒にゲームをやったり、勉強を教えてもらったりしているけれど、今日はいつもと違うので、おとなしくお菓子を食べていた。そんな私を見て気になったのか、支樹が声をかけてきた。

「それも食べてみな」

クッキーは一種類ではなく、何種類か袋に入っていた。袋の中を覗き込みながら、クッキーを取り出して、一口食べた。なかなかおいしい。
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