たまごのような恋 殻を割ったそのとき
たまごのような恋3
 学校帰りに書店に寄っていた。何か面白い小説はないだろうかとさがしていたが、特になさそうなので、料理の本が置いてあるところに行こうとしたら、ある本が気になった。
 可愛らしいイラストが描かれていて、純愛小説だとわかるように説明が書かれていた。
 その場に立ち止まって、パラパラとページをめくって、読んでいく。この本は面白い。
 どうしよう、買ってみようかな。
 少し時間をかけて読んでから買うことを決めたので、レジに並んだ。本を渡して、お金を払い、カバーをかけてもらって店を出た。
 まっすぐ歩いて、右に曲がろうとしたら、人にぶつかってしまった。

「すいません」
「いえ、ん?」

 顔を上げると、そこには支樹がいた。

「なんでここにいるの?」
「お前の家に行くところだから」

 急に黙ったと思ったら、じっと本の袋を見ていたことに気がついた。

「珍しいな。いい本があったのか」
「うん、少し読んで面白かったから買ったよ」
「よかったな。いい物がみつかって・・・・・・」
「ほんとに。じゃあ、行こうか」

 歩き進もうとすると、手を握られた。

「喉が渇いた」
「もう少し歩いたら家に着くよ」
「コーヒーを買う。琴音は?」
「ここで飲むの?」
「いや、あっち」
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