たまごのような恋 殻を割ったそのとき
 和食屋のサイトをみていたら、家からそんなに遠くなくて、評判が良いところ。

「いつか連れて行ってやる。琴音だけ」
「俺だけ仲間外れ?」
「兄妹で仲良く行くから」

 不満そうな表情から、何かを思いついたような表情に変わった。

「じゃあ、兄ちゃん抜きでどこかに行くことにしよう」
「知らない人について行くなよ」
「知っているだろう。失礼なことを言うな」
「失礼じゃない」

 数分間やり取りが続いて、ジュースを片手にそれを見ながら楽しんだ。

「面白い」

 そっと呟いた。
 二人のグラスが空なので、ジュースをそこに注いだ。

「これでよし」

 二人に手渡し、一時休戦となった。
 支樹と仲良くなるのにそれほど時間はかからなかった。気がつけば、支樹のペースにはまっていて、そこから抜け出せなくなっている。
 だからといって、決して嫌ではない。からかわれたらその仕返しに何かしようと考えることができて、面白い。
 まさか大学生とここまで接するとは、初めて会ったときには思ってもみなかった。

< 32 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop