たまごのような恋 殻を割ったそのとき
 意地悪な笑みを浮かべながら言うので、嘘だということはわかっている。ほんとに不味かったら、おかわりなんてしない。私は時々彼にからかわれている。いや、遊ばれているかな?私はおもちゃじゃないのに。食事が終わり、皿洗いを済ませた後、部屋でのんびりとしていた。

「明日はバイトだから」

 兄はテレビを観ながらいった。

「うん、頑張ってね」

 兄は週に三回バイトをしている。明日から休日だからゆっくりしようと考えていた。テレビをみると、可愛いキャラクターのアイスクリームのCMが流れていた。クマとネコが仲良くアイスを食べている。アイスはたまに食べるが、数かぞえるほどだ。私はチョコ味が好きで、ほかのものは全く食べない。そういえば、来週、数学の小テストがあるけど、簡単だし、昼休みや放課後の時間を使って勉強したから大丈夫か。ほっとしていると、支樹が私の髪をくるくる指に巻きつけて遊んでいる。

「何しているの?」
「暇つぶし」

 そう答えてきた。なんか機嫌がいい。今も私の髪を指に巻きつけたままで離す気がない。

「私のこと何だと思っているの?」
「ペットだな」
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