たまごのような恋 殻を割ったそのとき
 横からすっと手を伸ばしてきて、さっき置いたネックレスを取って、さっさとレジへ向かった。びっくりして、あわてて追いかけた。

「ちょっと、私が払うよ」
「俺が買ってやるから、あっちで待っていろ」

 そういいながら、財布からお金を出して、支払いをした。会計を済ませた彼がこっちに来て、手渡してくれた。

「ありがとう」
「どういたしまして」
「なんかお返しをするから。なにがいい?」
「家においで。いっぱいからかって遊んでやるから」

 あまりにも楽しそうに話すので、少し怖くなった。
 そういえば、私は支樹の家に行ったことがない。家ってどんな家だろう。部屋はどんな感じなのかな。意外と綺麗にしているのかな。

 「お前、さっきから何考えている?」

 いきなり現実に引き戻された。何も聞いていなかったからさっぱりだ。

「ちょっと、考え事・・・・・・」
「じゃあ、罰としてなんかしてもらおうかな」
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