たまごのような恋 殻を割ったそのとき
 ペットって・・・・・・。プィッとそっぽ向いた。

「怒るなよ」
「知らない・・・・・・」
「はぁー、まいったな・・・・・・」

 そう言っている割には困ったって顔してないじゃない。むしろ楽しそう。
 突然、支樹はスッと立ち上がって、どこへ行くのかと思っていたら、自分の鞄からあるものを取り出していた。何を出しているのだろうとのぞいては見たものの、彼の背中しか見えない状態だった。クルッと向きを変えてこちらに戻ってきた。大きな手の中に包まれているものはなんだろう?まるで小さな可愛らしいプレゼントの箱を開けるかのようだった。私の目の前にこぶしのまま渡した。それを受け取るために膝に乗せていた手を彼の手の下まで持ってきたら、何か落ちてきた。小さな赤い包みに入ったチョコレートだった。

「これ、最近話題になっているのだよね?」
「うん、そう」

 ストンと私の隣に座り、ポケットから取り出したもう一つ、自分のためのチョコを口に入れた。

「琴音も食べろよ、うまいから」
「う、うん」

チョコを口の中へポイッと入れると、甘さが広がった。苦味は全くなかった。

「あ、美味しい」
「だろ?」
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