たまごのような恋 殻を割ったそのとき
「支樹、今からお粥を作るけど、食べられそう?」

 支樹は少し目を開けてから、ゆっくりと閉じた。食べられるというサインだ。
 キッチンへ行き、すぐにお粥を作った。できあがったそれを支樹のところまで持っていった。
 彼の名前を呼ぼうとしたら、においがしたからなのか、体を起こした。

「ねぎを入れた?」
「うん。熱いから気をつけて」

 渡そうとするが、受け取ろうとしてくれない。私が困っていると、支樹が口を開いた。

「食べさせて」

 あ、甘えてきた。兄もそばにいるよ。

「俺が・・・・・・」
「琴音がいい。じゃなきゃ、食べないからな」

 あぁ、ますます不機嫌になっていったよ。仕方がないと思いながら、食べさせる。素直に食べてくれて、安堵する。

「誠一、冷たいものも欲しい」
「なんで俺に言う?」
「早く買ってきて。アイスクリーム」

 あいにく家にはアイスがないので、渋々腰を上げて、財布や携帯電話を持った。

「琴音、何かあったら、すぐに連絡すること」
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