たまごのような恋 殻を割ったそのとき
 それから夏休みが終わり、再び学校が始まった。

「いつもこんなに騒がしかったかな」

 普段と少し教室の雰囲気が違っていたことに不思議に思った。

「このクラスに転校生が来るからだよ」

 どうやら私の独り言が聞こえたらしく、後ろに座っている友達が教えてくれた。

「女の子?男の子?」
「男子があんなにはしゃいでいるから女子だよ」
「そうなんだ」

 会話を続けたかったが、先生と転校生が教室に入ってきた。

「あ!」

 相手が気づいて、私に手を振ってきた。

「あれ?知り合い?」
「う、うん」

 彼女の名前は桐野初美。可愛らしい名前だなと思っていたら、彼女がこちらに向かって歩いていて、ニコッと笑ったあと、私の後ろの席に着いた。

「よかった。同じクラスになれて。これからよろしく」
「こちらこそよろしく」

 そのあとすぐに先生は教科書を開くように指示した。私はノートに目をやり、出された宿題があっているか、確認をした。
 今日の授業が終わってから、私はみんなの分のノートを職員室までもっていこうとしていたとき、背後から声をかけられた。
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