たまごのような恋 殻を割ったそのとき
 私達は学校を出て、店に向かった。歩きながらお互いのことについて話をした。
 休日に何をしているのかとか、好きなもの、嫌いなもの、恋愛についてなど。

「家によく来るその人のことが好きなの?」
「す、好き?えっと、嫌いではない」
「さっき、琴音が教えてくれたタイプの人とは離れているけど、気になっていない?」
「なっていない。いつも人をからかって遊ぶから、その仕返しを考えているだけだから」
「仕返しね。今はどんなことを考えているの?」
「内緒だけど、成功したら、教えてあげるね」
「頑張ってね。楽しみにしているから」

 話をやめて、雑貨屋に入っていった。何を買うのかなと見ていたら、小さなスケジュール帳を手にとって、パラパラとページを捲ったあと、レジに行った。

「おまたせ」
「それだけでいいの?」
「うん。じゃあ、次の店に行こう」

 気がついたら手を握られていて、そのまままっすぐに歩いていった。私はバランスを崩しかけたが、クルリと前を向いてついて行った。
 一緒にいた時間が短かったせいか、あっという間に感じた。

「今日の報告は以上だよ」

 家で今日の出来事を話した。あ、大事なことを忘れるところだった。
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