たまごのような恋 殻を割ったそのとき
「あのさ、どんな女性がタイプ?」
「うーん、琴音の理想のタイプを教えてくれたら、俺も教える」
「私から先?」

 彼はうなずいてから、私をじっと見た。目を閉じて深呼吸してから、彼を見つめ返した。

「私のタイプはいつもからかって遊ばないで、人をペット扱いしなくて、髪を染めていなくて、人のものを勝手に読まなくて、きちんと相手のことを考えて行動する人だよ!」

 早口で話したから、少し呼吸が乱れてしまった。それまで何の反応も示さなかった支樹が頭を下げて、肩を震わせて笑い始めた。

「あっはははは!お前、やっぱり面白いな」
「な!」

 驚くことを期待していたのに、それが大きくはずれた。私ががっくりとうなだれていると、支樹は私の頭を撫でてきた。

「わかった」
「私のタイプを言ったのだから、支樹も教えて」
「俺のタイプは・・・・・・教えてあげない」

 ニヤニヤと笑っているその表情がとても憎たらしく、すぐに怒りをあらわにした。

「騙すなんて・・・・・・」

 言葉を続けようとしたが、人差し指で口を押さえられた。
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