たまごのような恋 殻を割ったそのとき
「今日はまっすぐ帰るね。それじゃ」
「うん。じゃあね」

 いつもより早めに家に到着した。鍵を開けようとしたら、後ろから誰かに口を塞がれた。勢いよく振り向くと、そこにはよく知っている人がいた。

「おかえり。琴音」
「ただいま。あのね、テストを貰ってきたよ」
「じゃあ、早速見ないとね。どうだろう?」
「大丈夫よ」

 部屋の中へ入っていき、小さなテーブルの上にテストを置いた。一枚ずつ確認していく。どれも高得点だとわかっていたので、静かに笑っていると、支樹がピタッと動かなくなったので、再びテストに目をやると、そこには七十三点と書かれているテストが一枚だけあった。笑顔が消えて、青くなっていった私を見ながら、それを目の前で揺らしていた。

「俺の勝ちだな」
「あと少しだったのに・・・・・・」
「さてと、何にしようか?負けたら俺の頼みごとを聞いてくれるよな」
「ちょっと待って。そんなこと言っていなかった!」
「まさか褒美だけだと思っていた?ちょっと都合がよくない?」
「うっ!」
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