たまごのような恋 殻を割ったそのとき
たまごのような恋8
 今日は文化祭。予想以上にお客さんがたくさん足を運んでくれていて、学校全体が賑やかで活気が溢れている。

「琴音、衣装可愛い」
「初美も似合っているよ。今日やることは違うけど、頑張ろうね」
「そうね」

 私はビラを配りながら宣伝をして、初美は接客をする。同じクラスの友達に呼ばれ、廊下へ出て行った。
 先を進むと、随分人だかりができている。友達に背中を押されて行った。

「あ!」
「琴音!」
「な、なんで髪の色が真っ黒なの!?」

 人に囲まれているのは髪を黒に染めた支樹だった。

「びっくりした?」
「そりゃあね・・・・・・」
「以前に琴音の好きなタイプを教えてくれたときに言っていたから」

 話していたけど、なんで今なのだろうか。

「だってすぐに染めるより、忘れた頃にやったら面白いだろ?」
「なるほどね」
「衣装、似合っているな。あとで写真撮ろうな」

 最初からそのつもりだったのだろう。しっかりとカメラを持参している。
 まわりの視線を強く感じる。そう思って見渡すと、周りの生徒達は好奇心に満ちた表情で見ていた。
 会話が途切れると同時に、質問攻撃が始まってしまった。
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