お前と月と。
悪夢。
―桜が咲いて―
…最後に会った日…
* * *
「こんばんわ!架綾。」
架綾は、悲しい表情で笑う。
…それに、気付かなかった。
「今日も、姫はお美しい。」
まるで、お伽話のように使う言葉。
恥ずかしかった。
でも、架綾が喜んでくれたら、何でも良かったんだ。
「付き合って、一年だね?」
「うん、そうだね?」
微笑みながら、眺める月。
「月は、好きですか?」
…ふと、聞いてみたくなった。
「はい。だって私、月から来たんだもの?月は、私の故郷。」
ありえない話。普通はそう思うだろう。
だけど、
月が、
キラキラと輝きを増したんだ。
架綾の言葉に、答えるように。