ツンデレ竜とお姫様
「なんて、俺が言うと思った?」


姫川があたしの顔を覗き込んだ。


「目が潤んでるよ」なんて、苦笑しながらあたしの目尻を触ってくる。


「……あたしを嵌めたの?」

「ごめんごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど」

「嵌めたよね」


目尻を触られたまま、あたしはギッと姫川を睨みつける。


「おお竜希、今まで見た中で最高にいい睨みっぷり」

「このドMが」


「光栄だよ」と満面の笑みを見せてくる。


こうやって毎度毎度、調子を狂わせられる。


「言っとくけど、俺、別れる気ないよ。身長のこと気にしてるだけで嫌いにならないし」

「あっそ」

「むしろ、別れろって言われたら泣きついてでも阻止するし」

「その時は振り払ってやるよ」

「竜希、理不尽ー」


なんて言いつつ、その時は内心ニヤニヤしながらあたしの攻撃を喰らうのだろう。


全くもって、気持ち悪い。


「身長、本当に姫川は気にしてないの?」

「うん。むしろ、誇りに思ってるよ。スタイルのいい彼女って」

「ふうん」

「まあ、竜希は俺のこと、そんな風に思えないだろうけど」

「別に。姫川は普通でしょ」

「気にしない?」

「しょーがねーから、気にしないように努力してやる」


姫川はぶはっと笑っていた。


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