ツンデレ竜とお姫様
御察しの通り、姫川はそこそこ顔立ちがいい上に、男女共から人気者である。
まあ、女子からは恋愛感情の意味で好かれることも多々あるけど。
ただ、こいつがMだということはほとんどの人が知らないはずだ。
あたしだって、偶然にも知ってしまったくらいなんだから。
姫川と初めて会ったのは半年前の高二の始業式の日。
「あ、竜希ちゃん、だよね?」
第一声がこれである。
見知らぬ、いや、姫川は一年の時から学年でも有名な人だったから顔と名前くらいは知っていて、今年同じクラスになったことも気づいていたけど、声をかけられたのにはかなり驚いた。
初めて声をかける人、特に異性に対して普通名前で呼ぶ?
「は?」
あまりに突然だったから、あたしは思わずポカーンとしてしまった。
「どうかしたの?」
「迷っちゃってさ……」
「はあ?」
ここは教室棟ではなく職員室などがある管理棟。あたしは新学期早々学級委員に選抜されてしまったために、今まで資料室まで行って資料を取りに行っていたのだ。
だから、今のあたしの腕にはクラス分の冊子が乗っている。
「ちょうどいいか」
「え?」
「半分、持ってくれる? あたし一人じゃちょっときついからさ」
「……いいけど」
姫川はなぜか微笑んでいた。
まあ、女子からは恋愛感情の意味で好かれることも多々あるけど。
ただ、こいつがMだということはほとんどの人が知らないはずだ。
あたしだって、偶然にも知ってしまったくらいなんだから。
姫川と初めて会ったのは半年前の高二の始業式の日。
「あ、竜希ちゃん、だよね?」
第一声がこれである。
見知らぬ、いや、姫川は一年の時から学年でも有名な人だったから顔と名前くらいは知っていて、今年同じクラスになったことも気づいていたけど、声をかけられたのにはかなり驚いた。
初めて声をかける人、特に異性に対して普通名前で呼ぶ?
「は?」
あまりに突然だったから、あたしは思わずポカーンとしてしまった。
「どうかしたの?」
「迷っちゃってさ……」
「はあ?」
ここは教室棟ではなく職員室などがある管理棟。あたしは新学期早々学級委員に選抜されてしまったために、今まで資料室まで行って資料を取りに行っていたのだ。
だから、今のあたしの腕にはクラス分の冊子が乗っている。
「ちょうどいいか」
「え?」
「半分、持ってくれる? あたし一人じゃちょっときついからさ」
「……いいけど」
姫川はなぜか微笑んでいた。