goldscull・不完全な完全犯罪Ⅲ
スキンヘッドの悲劇
ソイツの服装は、ティシャツにジーンズ上下。
(――こんな格好じゃ寒い訳だ)
俺は何かにつけて、この男性の異常な震えを正当化しようとしていた。
何だか判らないが、俺にその震えが別時点来ている気がしていた。
俺の霊感が、何かあると判断したのかも知れない。
俺の初アルバイト料で買ってみずほに贈ったコンパクトが、何だかおかしいんだ。
だから余計に彼のことが気になるのかも知れない。
俺はみずほのコンパクトをそっと開けた。
其処の文字を確かめるためだった。
《死ね》
それは赤い口紅で書かれていた。
同級生の町田百合子が、俺をサッカーのレギュラーにさせなくするために……
たったそれだけの目的のために、クラスメートを焚き付けてみずほを自殺に見せ掛けて殺したんだ。
みずほは成績優秀な生徒だった。
みんなはライバルが減るのが嬉しくて、囃し立てたらしいんだ。
『自殺するなら早くしろ!!』
と――。
俺はみずほの落ちた近くの植え込みでこのコンパクトを見つけた。
俺はあの時、この殺意に満ちた言葉によって霊感に目覚めたんだ。
だから、ついつい頼ってしまうんだ。
このような場合は……
俺はコンパクトをそっと閉じ、握りしめた。
目の前にいる彼を見つめるために。
ジージャンの釦は掛かっていなかた。
そのはだけた部分から何やら見えていた。
俺はそれが気になりそっと胸元に目をやった。
そこには、目映く光るゴールドスカルがあった。
でもそれは所々が鈍く不気味に光っていた。
俺は仕事のことより、訪問者がしているゴールドスカルのペンダントヘッドが気になった。
何か異様な雰囲気を醸し出していると思ったからだった。
俺は又恋人だった岩城みずほのコンパクトを握り締めながら、そっとそのペンダントヘッドに触ってみた。
(――あっ!?)
俺は震え上がった。
それは大分以前に亡くなった、俺の中学時代の親友・木暮悠哉(こぐれゆうや)の兄の意識だった。
――首が落ちている。
いや、落ちて来た。
それも突然俺の目の前に降ってきた――。
……それはデパートの従業員用エレベーターの前で起こったスキンヘッド男性ボーカル変死事件の一部始終だった。
(――えっー!?
これが事件の真相?
――そんなー!?)
俺はガタガタ震えて……
みずほのコンパクトを再び握り締めていた。
(――みずほが見せてくれたのか?
――そうだ。
きっと……
――だから、だからあんなに気になったのか?
――そうだよな。
木暮はみずほにとっても同級生だったんだ……)
俺は何時の間にか泣いていた。
まだまだ事件は終わっていないことに気付いて。
叔母さんの事件も有美の事件も、みんな未解決のままだったのだ。
それにこの事件……
(――ゴールドスカルの中の意識が本当だとしたら、ストーカーは目の前にいるコイツしかいない!!
――コイツがあの時のストーカーなのか?
――帽子を目深に被って犯行に及んだ、木暮の兄貴の首を落とした犯人なのだろうか?)
ゴールドスカルの中の意識。
それはきっとダイイングメッセージに違いない。
俺はそう思った。
その意識が俺に向けられたものではないこと位百も承知だ。
でも、それを伝えられる霊感を持ったこと。
それを生かすかどうかは俺の判断に任されたと思った。
木暮悠哉の兄のことは丸っきり解らない。
ましてや、目の前にいる彼のことも知るよしもなかったのだ。
(――こんな格好じゃ寒い訳だ)
俺は何かにつけて、この男性の異常な震えを正当化しようとしていた。
何だか判らないが、俺にその震えが別時点来ている気がしていた。
俺の霊感が、何かあると判断したのかも知れない。
俺の初アルバイト料で買ってみずほに贈ったコンパクトが、何だかおかしいんだ。
だから余計に彼のことが気になるのかも知れない。
俺はみずほのコンパクトをそっと開けた。
其処の文字を確かめるためだった。
《死ね》
それは赤い口紅で書かれていた。
同級生の町田百合子が、俺をサッカーのレギュラーにさせなくするために……
たったそれだけの目的のために、クラスメートを焚き付けてみずほを自殺に見せ掛けて殺したんだ。
みずほは成績優秀な生徒だった。
みんなはライバルが減るのが嬉しくて、囃し立てたらしいんだ。
『自殺するなら早くしろ!!』
と――。
俺はみずほの落ちた近くの植え込みでこのコンパクトを見つけた。
俺はあの時、この殺意に満ちた言葉によって霊感に目覚めたんだ。
だから、ついつい頼ってしまうんだ。
このような場合は……
俺はコンパクトをそっと閉じ、握りしめた。
目の前にいる彼を見つめるために。
ジージャンの釦は掛かっていなかた。
そのはだけた部分から何やら見えていた。
俺はそれが気になりそっと胸元に目をやった。
そこには、目映く光るゴールドスカルがあった。
でもそれは所々が鈍く不気味に光っていた。
俺は仕事のことより、訪問者がしているゴールドスカルのペンダントヘッドが気になった。
何か異様な雰囲気を醸し出していると思ったからだった。
俺は又恋人だった岩城みずほのコンパクトを握り締めながら、そっとそのペンダントヘッドに触ってみた。
(――あっ!?)
俺は震え上がった。
それは大分以前に亡くなった、俺の中学時代の親友・木暮悠哉(こぐれゆうや)の兄の意識だった。
――首が落ちている。
いや、落ちて来た。
それも突然俺の目の前に降ってきた――。
……それはデパートの従業員用エレベーターの前で起こったスキンヘッド男性ボーカル変死事件の一部始終だった。
(――えっー!?
これが事件の真相?
――そんなー!?)
俺はガタガタ震えて……
みずほのコンパクトを再び握り締めていた。
(――みずほが見せてくれたのか?
――そうだ。
きっと……
――だから、だからあんなに気になったのか?
――そうだよな。
木暮はみずほにとっても同級生だったんだ……)
俺は何時の間にか泣いていた。
まだまだ事件は終わっていないことに気付いて。
叔母さんの事件も有美の事件も、みんな未解決のままだったのだ。
それにこの事件……
(――ゴールドスカルの中の意識が本当だとしたら、ストーカーは目の前にいるコイツしかいない!!
――コイツがあの時のストーカーなのか?
――帽子を目深に被って犯行に及んだ、木暮の兄貴の首を落とした犯人なのだろうか?)
ゴールドスカルの中の意識。
それはきっとダイイングメッセージに違いない。
俺はそう思った。
その意識が俺に向けられたものではないこと位百も承知だ。
でも、それを伝えられる霊感を持ったこと。
それを生かすかどうかは俺の判断に任されたと思った。
木暮悠哉の兄のことは丸っきり解らない。
ましてや、目の前にいる彼のことも知るよしもなかったのだ。