あいのうた
「!?大地!?」
「早く冷やせ!痕になるぞ!」
「う、うん…」
「……」
二人に続き浴室を覗き込めば、そこには浴槽のふちに座るナツと、その足にシャワーで水をかける大地という光景。
大地は自分のズボンの裾や靴下が濡れることも厭わず、ナツに冷水をあてている。
「…いたっ、」
「ヒリヒリするだろうけどしばらくこうやって冷やしておけ」
「……」
いざという時、こうして俺より素早く伸ばされる手がある。
それが何だか嬉しいような、寂しいような…そんな親心。
(…俺がいらなくなるのも、そんなに遠くないかもな)